北東北の物流拠点、八戸港のコンテナターミナル3分の1使用できず…地震で路面亀裂

8日夜に発生した青森県東方沖を震源とする地震で、北東北の物流を支える同県八戸市の八戸港コンテナターミナルでは路面が大きく損傷し、3分の1が使用できなくなっている。運び出せないコンテナも約500個あるが、復旧のめどは立たない。ターミナルの管理会社は12日から荷役業務を再開したが限られたスペースで作業を強いられ、今後の物流への影響が懸念されている。
被害を受けたのは、2018年に増設され、コンテナターミナルの3分の1を占める「Cエリア」。アスファルトの路面のあちこちに亀裂が走る。約20センチ隆起した箇所や、5センチ以上沈下したところもあり、路面が波打っているような状態だ。
八戸港は国の重要港湾の一つで、1994年に東北で初めて国際コンテナ定期航路が開設されて以降、輸出入の窓口になってきた。県や市、港湾事業者らで作る八戸港国際物流拠点化推進協議会によると、2023年の貨物取扱量は約2700万トン。紙・パルプを主に韓国に輸出しているほか、韓国経由で中国から日用雑貨、フィリピンから木材などの住宅資材を運んでいる。
コンテナターミナルの管理・運営業務を担う「八戸港湾運送」では、12日から荷役業務を再開したが、地震の被害で使用できるエリアが全体の3分の2にとどまる。同社コンテナターミナル課の柳谷悟課長は「狭いエリアでこれまでと同じ数のコンテナをさばかなければならず、苦慮している」と話す。
地震でできた路面の段差で、Cエリアにはコンテナを持ち上げて運ぶ重機(重さ約60トン)が入れず、約500個が運び出せないままだ。中身が入っているのは5分の1ほどで、空のコンテナは船会社などに戻され、輸出に再利用される予定だった。
亀裂や損傷は、コンテナの下まで及んでいるとみられ、国土交通省も緊急災害対策派遣隊(TEC―FORCE)を出して10日から現地調査を行っているが、被害の全容把握には至っていない。
12日にコンテナターミナルを視察した宮下宗一郎知事は、「県内のインフラの中では最大級の被害だと感じた。影響が続けば、港の利用者が減少する懸念もある。物流への影響を最小限に抑えるべく、県も全面的に協力したい」と話した。