海洋研究開発機構などの国際研究チームは18日、地球深部探査船「ちきゅう」で東日本大震災の震源断層を掘削し試料を解析した結果、断層を挟む2枚のプレートの岩石に大きな特性の差があり、これが断層を発達させたことが分かったと、米科学誌サイエンスに発表した。震災ではこの断層が大きく滑り、巨大津波を引き起こした。
震源域の日本海溝では、陸のプレートの下に太平洋プレートが沈み込んでいる。ちきゅうは24年、断層面を挟む2枚のプレートから岩石を採取。それぞれの岩石には、地震波の伝わる速度や密度に大きな違いがあることを突き止めた。この違いが断層の形成を促したと考えられるという。
さらに、断層面の一部に高低差約15メートルの凹凸構造を見つけた。一般的に、断層面の凹凸構造は滑りを抑制するが、東日本大震災はそれをも超える大きな滑りだったことを裏付けた。
チームは震災翌年の2012年にも同じ海域で掘削調査し、太平洋プレート上の断層面に蓄積した粘土質鉱物が滑りを加速させ、巨大津波を引き起こしたことを明らかにしている。
同機構の奥田花也研究員は「15メートルの凹凸を超えて断層を滑らせるのは通常難しいはずだが、東日本大震災ではそれが起きた。粘土質鉱物の集積など大きな地震を起こす地質学的な要因がそろったのだろう。今後、日本海溝の他の場所も調査し、巨大地震のメカニズム解明に取り組みたい」と話した。【垂水友里香】