科研費、来年度予算案で100億円増へ…若手研究者枠を1000件新設

政府は、2026年度予算案で、学術研究を幅広く支援する「科学研究費助成事業(科研費)」に2479億円を計上する方針を固めた。前年度当初比約100億円増で、過去10年では最大の増加幅となる。低迷が指摘されている研究力の強化が狙い。
文部科学省が助成する科研費は、自然科学、人文・社会科学すべての分野を対象にする、国内最大規模の競争的研究費。ただこの10年の当初予算ではほぼ横ばいが続いていた。
来年度の科研費では、若手研究者の支援を大幅に拡充する。独創的で発展途上にある研究を支援する「挑戦的研究(萌芽)」について、若手枠約1000件を新設し、全体の採択枠は倍増させる。1件あたり最大500万円を支給する。
また、世界での日本人研究者の存在感低下が指摘されていることなどから、国際共同研究の推進を目的とした研究費枠を増額したり、採択率を高めたりする。
科研費を巡っては経済団体や学術団体などから倍増を求める声が上がっており、高市首相は先月の総合科学技術・イノベーション会議で、基礎研究への投資を大幅に増やすよう関係閣僚に指示していた。
24日には、国立大に人件費や研究費などとして配分する来年度の運営費交付金について、前年度比188億円増の1兆971億円が計上される見通しも公表された。増額幅は東日本大震災の影響があった14年度を除き、過去最大となる。