衆院選、各党の公約は…経済政策や外交・安保などの政策を比較

2月8日投開票の衆院選では、物価高対策を含む経済政策が主な争点となる。円安や長期金利の上昇を踏まえ、財政に関する主張も関心が高い。米国のトランプ政権に世界が翻弄(ほんろう)される中、外交・安全保障政策でも論戦が交わされそうだ。各党の公約の論点を整理した。
【経済・財政・税】消費税減税や廃止主張…財源・期間にばらつき
今回の衆院選では、長引く物価高を踏まえ、与野党各党が家計の負担軽減策として、消費税の減税や廃止を公約に掲げた。財源のほか、減税の期間や対象は各党でばらつきがある。
自民党と日本維新の会の与党は、食料品を2年間、消費税の対象から外すことを共通して打ち出した。実現に向け、具体的な制度設計や財源、スケジュールなどは、今後政府・与野党で設置する「国民会議」で検討する。中道改革連合なども食料品の消費税ゼロを公約に盛り込んだが、恒久化を主張した。中道改革は実施時期を「今秋」と明記した。
国民民主党は、「賃金上昇率が物価上昇率プラス2%に安定して達するまで」と期限を区切り、食品だけではなく、一律の5%減税を盛り込んだ。共産党は「廃止を目指し、ただちに5%に減税」と訴えた。参政党、れいわ新選組、社民党の3党は消費税廃止・ゼロを主張した。一方、チームみらいは消費税率を維持し、「社会保険料を下げることを優先する」との立場だ。
消費税減税の財源について、自民は、高市首相が「税外収入や補助金、租税特別措置の見直し」による充当に言及している。中道改革は「政府系ファンドの創設や国の基金の活用など」で捻出するとした。共産や社民は大企業や富裕層への課税強化、日本保守党は経済成長に伴う税収増や政府支出などの見直しをそれぞれ財源に挙げた。
中低所得者や現役世代の手取りを増やすため、自民、維新、中道改革が給付と減税を組み合わせた「給付付き税額控除」の実現を明示した。国民民主は「社会保険料還付制度」の導入を訴えた。
成長戦略に関し、自民は、複数年度の予算措置や新たな財源確保の枠組みを検討し、官民で成長分野への戦略的投資を進める「責任ある積極財政」の考えを強調した。維新は半導体など、戦略的物資の研究開発支援で、「日本の技術力を確固たるものにする」とした。
中道改革は重点投資対象を「グリーン・ローカル・ライフ・デジタルの4分野」と示した。国民民主は、デジタル、環境分野で企業に投資額以上の減価償却を認める「ハイパー償却税制」の導入を盛り込んだ。
【外交・安保・憲法】防衛強化、各党が賛否
中国による海洋進出など、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、防衛のあり方に各党が公約で言及した。外交や憲法改正を巡る姿勢も様々だ。
自民党は、国家安保戦略などの安保3文書について、「本年中に3文書を改定し、新たな時代に対応した防衛体制を構築する」と明記した。日本維新の会は「次世代の動力を活用した潜水艦」保有を推進する方針を打ち出した。国民民主党は「自分の国は自分で守ることを基本に据える」と強調した。
一方、中道改革連合は「安保環境へ適切に対応する防衛力の整備」を掲げ、「存立危機事態における自国防衛のための自衛権行使は合憲」との立場を示した。れいわ新選組は防衛費増を中止するように求めた。
防衛装備品の輸出については、自民と維新が防衛装備移転3原則の運用指針が定める輸出可能な装備品の「5類型」を撤廃する方針で足並みをそろえた。中道改革は「防衛産業の基盤強化を図る」との主張にとどめた。共産党と社民党は防衛装備品の輸出拡大に反対した。
外交政策では、国民民主が人権外交の推進を訴えた。日本保守党も中国などでの人権問題解決に向けた働きかけを掲げた。
維新や参政党などは、情報工作を防ぐためのスパイ防止法制定を公約に明記した。
憲法改正に関しては、自民が、自衛隊明記や緊急事態条項など4項目を挙げて「憲法改正実現に向け、国民への丁寧な説明を展開する」と強調した。維新も「国会発議の実現」を訴えた。
一方、中道改革は「立憲主義を堅持した上で、自衛隊の位置づけなどの議論を踏まえ、責任ある改憲論議を深化」する方針を示した。共産とれいわは憲法改正に反対の立場だ。
【外国人政策・その他】共生のあり方模索
外国人政策は昨年の参院選に続き、今回の衆院選でも一つの争点だ。外国人受け入れや外国資本の投資に対する規制のあり方で、各党の主張が分かれた。政治改革を巡っても、立場の違いが目立った。
自民党は外国人の住宅・土地取得に関し、「法律・ルールを見直す」と明記した。税や社会保険料の支払いについて、「国民の不安と不公平感に正面から応える」と訴えた。連立を組む日本維新の会、野党の国民民主党、参政党も土地や不動産取得の規制を強化する方針で並んだ。
中道改革連合は、日本人と外国人がルールを守りながら暮らす「多文化共生社会」を目指すと強調した。「多文化共生社会基本法」などの制定も盛り込んだ。
維新は在留外国人や外国人の受け入れに関する数値目標などを記した「人口戦略」を来年度中に策定する方針を示した。国民民主は投機目的の不動産取得に追加の税負担を求める「空室税」の導入を打ち出した。参政は外国人総合政策庁の新設を主張した。
共産党は永住外国人への地方参政権付与、れいわ新選組は外国人の包括的な権利を規定する法律の制定を掲げた。
政治改革では、自民は政治資金のあり方に関し、国会の有識者会議で検討した上で、「2027年9月末までに結論を得る」と強調した。維新は企業・団体献金について、「全面禁止を目指し、個人献金を促進する」としており、与党内で温度差が目立った。
中道改革と国民民主は企業・団体献金の献金額上限や受け手の規制強化を訴え、共産とれいわは全面禁止を主張している。
※25日までに発表があった各党の公約を掲載しました。各党の公約は、読売新聞の表記に合わせて加筆・修正した部分があります。