福島原発避難者訴訟 国の責任、2審も否定 福岡高裁控訴審判決

東京電力福島第1原発事故で福島県などから福岡、佐賀両県などに避難した住民約40人が、国と東京電力に計約1億3000万円の損害賠償を求めた集団訴訟の控訴審判決で、福岡高裁(高瀬順久裁判長)は4日、2020年6月の1審・福岡地裁判決から約100万円減額し、住民22人へ計約390万円の支払いを東電に命じた。国への請求は1審を支持し、控訴を棄却した。
同種訴訟は全国で約30件起こされ、22年の最高裁判決が国の賠償責任を否定して以降、国への請求を退け、東電だけに賠償を命じる判決が続いている。
1審に続き、国が地震による津波を予見し事故を防げなかった過失の有無などが争点だった。判決では、「予見の程度には限界があり、津波発生が切迫していたとの予見まではなかった」と指摘。想定津波に基づいて防潮堤を設置しても、「事故を防止できたとは言えない」などと国の責任を1審と同様に否定した。
また避難について1審は、11年12月まで自主避難等対象地域からの避難の合理性を認め、妊婦と18歳以下の子とその親については12年8月まで認めて福島県内に居住していた24人について計約490万円の支払いを命じていた。高裁判決は、原告1人について家財道具の購入費などで新たに認めた一方、子と一緒に12年2月に避難した父母らについては請求を取り消すなどして全体としては減額した。
原告の一人で、原発事故後に福島県いわき市から九州に避難し、現在は小郡市で暮らす金本友孝さん(64)は「国策の原発政策なのに責任を国が取らない。やりたい放題になる」と怒りを隠さなかった。東電は判決を受けて「判決内容を精査し真摯に対応する」とコメントした。【森永亨】