クマ目撃情報が多発 新潟では昨年同時期より100件増、けが人も えさ不足で人里に

今年のクマの新潟県内での目撃情報の件数が9月末までに約650件に上り、昨年の同時期より100件ほど多くなっている。木の実などの不作で例年より餌が少ないことから、人里まで餌を求めて出没しているとみられる。クマに襲われてけがをした事例も9月以降で少なくとも5件報告されており、県などが注意を呼びかけている。【露木陽介】
県環境企画課によると、今年4月1日~9月末までに寄せられた県内のクマの目撃や痕跡の情報は646件で、昨年の同時期の537件を約100件上回った。
9月以降にクマに襲われてケガをする事例も相次いで報告されている。南魚沼市上野では9月25日に市道をランニングしていた40代の男性がクマに遭遇。頭部などを引っかかれるなどし2週間の入院を要するけが。10月2日には阿賀町広谷の民家の駐車場で住民の20代男性が車に乗り込もうとしたところを襲われ、右手首などをかまれた。「山奥ではなく、普段人がよく立ち入るような場所での襲撃も多くなっているのが特徴だ」と同課の担当者は話す。
クマの出没が多くなった背景には、昨年の餌の豊作と今年の凶作があるとみられる。木の実の豊作、凶作の状況は3~4年程度で周期的に変わる。昨年はクマの主な餌となるブナをはじめとする木の実が豊作で、雌のクマの栄養状況が良くなり子グマの頭数が増加傾向になったと予想されている。頭数が増えたことに加え、今年の木の実は凶作になった。クマが少ない餌を取り合い、冬眠前にさらに餌を求めて人里に下りてきている可能性もある。クマの生態に詳しいNPO法人「日本ツキノワグマ研究所」(広島県廿日市市)の米田(まいた)一彦理事長は「山の深くには大型のクマ、里山には若いクマがすんでいる。大型クマが餌を求めて里山に進出すると、若い子グマがすみかから追い出され、人間との緩衝地帯に出てくる」と話す。

同課は、クマが近寄らないように人の存在を知らせることと、環境の整備の2点を呼びかけている。山に入るときや近づくときは、ラジオやクマよけ鈴など音が出るものを持ち歩き、クマに人の存在を知らせる▽単独行動を避け、早朝、夕方のクマの活動が活発になる時間に入山することを避ける▽庭先などにカキやクリなどクマの餌になるものがある場合はすぐ収穫する▽クマの隠れ場所となる茂みなどは刈り取る――などの対策で、遭遇を減らすことができる。
万が一クマに出合った場合は背中を見せずゆっくり後ずさりすることが鉄則だ。背中を見せるとそれを追いかける習性がクマにあるためだ。遭遇したクマが子グマであっても注意が必要だ。子グマが単独行動をすることは少なく、近くに必ず母クマがおり、子どもを守るために襲ってくることもある。
クマから見れば人は自分の縄張りに入ってきた侵入者だ。県のホームページなどで自分が歩くコースのクマ目撃情報などを確認し、一層の注意を払いながらの散策が必要だ。米田さんは「秋は紅葉やキノコ取り、クリ拾いなどで山に入ることが多くなる。特に注意が必要だ」と話す。