小学館「マンガワン」に連載を持っていた漫画家の男(50代)が、講師をしていた高校の元生徒の女性(以下「原告女性」)に対し苛烈な性加害に及んでいた、と認定した裁判が注目を集めている。男の筆名は山本章一。マンガ『堕天作戦』(小学館)の作者として知られる。北海道芸術高校札幌サテライトキャンパス(以下「北芸」)では、本名で講師をしていた。
実は、山本からの被害を訴えているのはこの原告女性だけではない。ジャーナリストの秋山千佳氏が、もう一人の被害女性である元生徒の堀彩花さん(仮名)の告発を受け、その悪質な性加害の手口について 「文藝春秋」5月号 に寄稿した。
「山本がとうとう逮捕され…」
秋山氏は2019年、堀さんに話を聞き、彼女の名前など個人を特定できる要素を伏せて 記事にしている 。匿名にせざるを得なかったのは、山本の卑劣な”口止め”が存在したからだ。だが、今年2月、堀さんから秋山氏にメールが届いた。
「山本がとうとう逮捕され、素性も世に出回りました。実はこの裁判に私も協力していました」
同月に出た裁判の一審判決後の報道により、原告女性が警察に被害を届けて山本が逮捕されたことや、高校在学時の原告女性に「おしおき」と称して性行為を求めたことなどの事実が世間に衝撃をもって受け止められた。
加えて、小学館の担当編集者が山本逮捕後の和解協議に加わるなど関与し、山本を漫画原作者として別名義で起用し続けていたことに批判が集まった。
なぜ声を上げる覚悟を決めたのか?
堀さんが今回、声を上げる覚悟を決めたのは、なぜ北芸で山本の性加害が繰り返されたかを周知するためだという。
「小学館の漫画家というインパクトが強すぎてそちらばかり取り沙汰されているのですが、講師が性的目的で生徒に近付いていたことを知りながら対策をとらず、ここまで大きな被害を生んだ高校にも責任があると思うので、そこも世の中に知ってほしいと思っています」
堀さんは北芸在学中の2年時から3年時にかけて、デッサンの授業の担当講師だった山本から性被害を受け続けた。
記事では、山本の悪質なグルーミングの手口や、堀さんをさらに苦しめた成人後の深刻な被害、北芸の不誠実な対応についても報じている。
秋山千佳氏の記事「 マンガワン事件 もう一人の被害女性の怒り 」は、月刊文藝春秋のウェブメディア「 文藝春秋PLUS 」で先行配信中。4月10日発売の月刊文藝春秋5月号に掲載する。
(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2026年5月号)