北海道新幹線の札幌延伸巡り談合の疑い、開業時期のさらなる遅れを懸念…沿線自治体に募る不信感「すでに少なくない費用を負担している」

北海道新幹線の札幌延伸工事の入札をめぐり、談合疑惑が浮上した。公正取引委員会が19日、工事に関わった建設会社9社などに立ち入り検査に入ったことを受け、沿線の自治体や関係者からは、開業時期のさらなる遅れなどの影響を懸念する声が相次いだ。
公取委は軌道工事の入札で談合した疑いがあるとして、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で関係先に立ち入り検査を行った。道内では、JR北海道グループで線路の工事や保守を担う「北海道軌道施設工業」(札幌市)のほか、工事主体の独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」の札幌市内にある北海道新幹線建設局の事務所も対象となった。
北海道軌道施設工業は「立ち入り検査を受けた事実を真摯(しんし)に受け止める」とのコメントを発表。JR北広報部は「ご心配をおかけし申し訳ない。調査に全面協力するよう指示した」とし、機構の北海道新幹線建設局の担当者は取材に、「必要な調査に全面的に協力している」とした。
北海道新幹線の新函館北斗―札幌間の延伸工事は当初の予定より遅れている。
2012年の着工後、政府は15年、開業時期を30年度としていた。しかし、札樽、羊蹄、渡島の3トンネルで工事が難航し、国土交通省の有識者会議は25年3月、開業は38年度末頃になるとの見解を示した。
機構によると、今月1日時点でトンネルの掘削率は92%だが、札幌市と小樽市を結ぶトンネルの一部工区では4月に天井の崩落があり、工事が中断している。線路は敷設場所の基礎を設置する工事が行われているものの、全体の16%にとどまり、敷設は道南でわずかに進んでいるのみだ。
札幌市の秋元克広市長は19日、「事実とすれば、今後の工事への影響が懸念される。一刻も早く事実関係が究明されるよう求める」とコメントを発表した。
上京中の鈴木知事は19日、首相官邸で報道陣の取材に応じた。鈴木知事は「札幌延伸は道民の悲願。極めて重要な取り組みに影響を与えることがないよう、しっかり整理する必要がある」と話した。
新駅の建設が予定されている沿線の自治体も、不信感を募らせる。
長万部町の担当者は「すでに少なくない費用を負担している。高止まりする工事費を自治体や道民が負担していることを、関係企業などは理解しているのか」と語気を強める。八雲町の担当者も「もし不正によって(工費を)過剰に負担しているのなら、抗議をする必要もあるかもしれない」と話す。
札幌開業に期待をかける経済界も、工事への影響に懸念を示す。札幌商工会議所の役員の一人は「大雪で飛行機が欠航した際の代替手段としても、新幹線は重要だ。これ以上遅れることがないようにしてほしい」と求めた。