沖縄県名護市辺野古沖で3月、小型船2隻が転覆し、同志社国際高(京都府京田辺市)の女子生徒(17)と男性船長(71)が死亡した事故で、2隻の船長が転覆前、生徒側に船を操縦させていた可能性のあることが、捜査関係者への取材でわかった。第11管区海上保安本部(那覇市)が詳しく調べている。
事故は3月16日午前10時10分頃に発生。市民団体「ヘリ基地反対協議会」が運航する「不屈」と「平和丸」が転覆し、生徒18人を含む計21人が海に投げ出され、不屈の船長と平和丸に乗っていた同校2年の女子生徒が死亡、生徒ら14人が負傷した。
捜査関係者によると、当時、現場付近で安全航行を呼びかけていた海保や生徒が撮影した映像などから、不屈では転覆する前に、生徒に操船を代わり、平和丸でも同様の動きをした疑いがあるという。海保は映像を精査するなどして調べている。
一方、平和丸の男性船長は関係者に対し、「不屈の船長が生徒にハンドルを持たせているのを見て、同じように持たせた」「船のハンドルを押さえた上で、生徒に操縦させた」などと説明。事故については、反省の意を示した上で「先に転覆した不屈を助けにいかないわけにはいかなかった。遺族に直接謝罪したい」などと話しているという。
船舶職員及び小型船舶操縦者法と施行規則では、船の操縦者に免許の取得を義務づけている一方、免許を持つ操縦者が指揮監督を行う場合などは、免許を持たない人による操船を認めている。ただ、国土交通省によると、無免許の人の操船は、安全が確保され、危険性が小さい状況下であることが想定されている。当日は波浪注意報が発表され、警戒監視中の海保は「波が高いので十分気をつけてください」などと拡声機で繰り返し注意を促していた。
26人が死亡・行方不明となった北海道・知床半島沖の観光船沈没事故で事故対策検討委員会の委員を務めた慶応大の南健悟教授(海事法)は、「免許を持たない高校生に船を操縦させていた場合、法律違反を問われなくとも、当時の気象状況などを踏まえると、軽率で不適切な行為だったと評価されうる。司法手続き上、安全管理に対するずさんさや悪質性を示す事情として考慮される可能性がある」と指摘する。
このほか、海保の捜査では、乗船前に生徒に対し、船長らから安全面に関する詳細な説明がなかったことも判明した。ヘリ基地反対協議会側に同校生徒の乗船名簿はなく、安全管理に関する資料も見つかっていないという。協議会側の安全管理体制に問題があった可能性がある。11管は、業務上過失致死傷などの疑いで捜査を進めている。
沖縄・玉城デニー知事、9月の知事選への影響「ないと言えず」
沖縄県の玉城デニー知事は19日、同県名護市辺野古沖の小型船2隻の転覆事故が、9月の県知事選に与える影響について、「一つの世論の方向性として全く影響がないとは言い切れない」と述べた。
玉城氏は同日の定例記者会見で、2隻の運航団体に県が補助金を出しているといった事実とは異なる情報がSNS上に出ていることに触れた上で、「(誤情報を)拡散することも間違った判断を広め、助長することにつながる。間違った情報によって判断されることがあってはならない」と語った。