「あの時の行動を何度振り返っても、やはり買わなかっただろうなと思っております」
大阪府八尾市立小1年だった女児が遠足中に茶の購入を希望したのに教諭が認めず、女児が帰宅後に熱中症で救急搬送されるという事故があった。冒頭の発言は、学校側の安全配慮義務違反を問う大阪地裁の訴訟の中で、校長が発したものだ。
校長は遠足に同行。女児が元気だと判断して購入しないことを決め、水分補給を我慢させた。裁判官から 「(事故後)遠足の関係で何か対応が変わったことはあるか」と問われ、「特になかったように思います」とも述べた。
訴訟資料で発言を確認したが、違和感をぬぐえない。4月にあった判決は学校側に義務違反はなかったとして女児側の訴えを退けた。だが法的責任とは別に、熱中症予防の観点や子供に寄り添う姿勢としては不十分な部分があったことは明らかで、再発防止こそ重要だと考えるからだ。
実は市(学校)側も思いは同じではないか。内部文書によると、事故後、市教育委員会から相談を受けた弁護士は「熱中症は学校で水分を準備しておき飲ませることで防げたかもしれない。今後同様のことが起きないよう厳重注意をすることが妥当」との見解を示し、実際に学校側への注意が行われたとみられる。
こうした市の対応は、訴訟での校長らの証言と食い違う。現場は本当に事故を教訓としていないのか。
女児の母親は、同校で現在接する教員らには子供に寄り添う姿勢を感じ、「感謝の気持ちしかない」という。法廷証言ではなく、こうした姿勢こそが「事故を繰り返さない」という現場の本心であると読み取りたい。それが単なる記者の願望ではないことを信じて。(西山瑞穂)