政権の枠組みが変わり、戦後最大の与党を生んだ衆議院選挙から3か月が経ちました。一方で、かつて「民主王国」と呼ばれた北海道で、最も多く落選したのが、立憲民主党出身の中道の議員たちです。彼らの今を追いました。
高市一強と中道落選議員の今
落選から3か月あまり。「顔写真のパネル」を手に、この日も函館駅前の交差点に立ちます。
支持者 「(落選し)今回残念でしたけど、充電期間と思って頑張ってください」
前衆議院議員の逢坂誠二さん67歳。北海道渡島、桧山が選挙区で、当選6回のベテラン政治家です。
街頭演説 「もちろん再生可能エネルギー、これは非常に大事なものであります。だからと言って環境の破壊をしながら、地元の賛成もということでは、まずいわけであります」
まず、話題にしたのは、地元で注目を集める風力発電所計画です。バッジを失い、地域の課題や活動への思いを地道に伝える毎日です。
衆議院議長(国会・国会10月) 「内閣総理大臣に指名することに決まりました」
“解散1週間前”の新党「中道改革連合」設立
保守色に強い高市総理の誕生で、連立政権を離れた公明党。
逢坂さんが所属していた立憲民主党は、その公明党と、解散のわずか1週間前に合流し、「中道改革連合」を立ち上げました。
中道改革連合 野田佳彦 前共同代表 「中道はですね、右にも左にも傾かずに、対立点はあるかもしれませんけど、熟議を通して解を見出していく」
不満を漠然とした期待に変えた高市旋風…中道や焼け野原に
迎えた衆院選。歯切れよく「総理の私を選ぶか否か」と問いかけた高市旋風は、「国民の不満」を「漠然とした期待」に変えました。
一方、中道は「1+1=2にはならず、焼け野原」という歴史的大敗を喫したのです。
中道改革連合 逢坂誠二 前衆院議員 「ひとえに私の力不足、努力不足、それに尽きると思う」
逢坂さんも小選挙区で敗れ、比例復活も叶いませんでした。
5月、連合系の集会で、珍しく選挙戦を振り返りました。
中道改革連合 逢坂誠二 前衆院議員 「今回の中道改革連合設立というのは、やっぱりどう逆立ちしてみても無理がある。こんな直前の選挙でそんなことが浸透するはずがない」
ハッシュタグは「歩く歩く聞く聞く」
中道改革連合 逢坂誠二 前衆院議員 「鹿部で買う元祖大沼だんご」
逢坂さんのSNSのハッシュタグは「歩く歩く聞く聞く」。地域の祭りには、こまめに顔を出し…。
来賓として声が掛かれば、片道2時間以上かけて、消防団の訓練に駆け付け・・。
馴染の店で、元気をもらい…。
「おしゃべり会」と銘打って街角に立ち、人々が直接、話しかけてくるのをじっと待ちます。
中道改革連合 逢坂誠二 前衆院議員 「(おととしの)コナンの(イベント)のほうが一番人が通った。ここに立っているとそれがよく分かる」
東京の事務所は閉鎖、秘書は6人から3人に減らす
経費を圧縮するため、東京の事務所は閉鎖し、6人いた秘書も、3人に減りました。この先、気になるのは、政治家としての活動資金です。
中道改革連合 逢坂誠二 前衆院議員 「お金は大変だね。やっぱり事務所一つ持って、コピーとか。また都会と違って車がなければ活動にならない。大体年間、最低でも2000万円くらいかかる」
途中、解散がなければ、現在の衆議院議員の任期満了は、2030年の2月7日。 その間、どう過ごすか…中道の政治家の悩みは尽きません。
長く先の見えない“浪人生活”
先週、札幌・清田区で行われた小学校の運動会。先の衆院選で落選した中道の荒井優・前議員の姿がありました。
中道改革連合 荒井優 前衆院議員 「知っている人にあいさつしたり、あとは小学校の先生とかですかね。今は少しトーンダウンしていたので、落選してからは初めて学校に来た」
51歳と働き盛りの荒井さん。現職の動向次第で、来年春の札幌市長選挙への出馬も取り沙汰されています。
中道改革連合 荒井優 前衆院議員 「中道というコンセプトはもう1回みんなで見直してみることをちゃんと考えてみたらいいんじゃないか」
中道改革連合 荒井優 前衆院議員 (中道が危機的状況の中で市長選は光明?) 「きょうは特にそういうことに答える場ではないと思ってます。中道のこれからのことっていうことで取材を受けさせていただきましたよね」
JNN世論調査(5月)での政党支持率は中道3%、立憲1.2%
5月のJNN世論調査では、中道の支持率は3%、立憲は1.2%。
参議院や地方議員の合流は、メドも立たず、中道、立憲、公明の3党が併存する、なんともわかりにくい状況が続いています。
旧民主党時代「王国」と呼ばれた北海道は、今は昔
一方、地元でベテランが「どぶ板」戦術を強める中、迎え撃つ自民党2回生議員は。
自民党 向山淳 衆院議員 「(私が)国会活動している間(逢坂氏が)地元にいらっしゃるということは、不安もある一方で、議員として役に立って結果を残していくことが、何よりもこれからの基盤につながっていく」
中道改革連合 逢坂誠二 前衆院議員 (Q.落選して引退とかは考えなかった?) 「全く考えていないです。もし首長だったら、私はこんなに長くはやりません。でも議員というのはやっぱり長い経験を重ねる事によって、これまでにないパワーっていうのを得られるっていうのは、自分でやってみて明らかだというふうに思っているんで」
旧民主党時代、「王国」と呼ばれた北海道は、今は昔。
衆議院の4分の3を占める戦後最大の巨大与党が「国論を二分する政策」を強める中、改めて選挙区の支持層をつくり直す、地道な作業が続きます。
敗北の原因と国論二分の政策
森田キャスター: 中道改革連合は、前回の衆院選を「選挙目当ての急造新党との批判を払拭できなかった」と総括。そして今後について、 ・参院議員の合流や党名変更を検討 ・7月末までに「看板政策」をつくる ・12月末までに党の構造改革 を行うとしています。
堀啓知キャスター: 最新の世論調査で中道の支持率は3%ですから、これは党勢を回復させるには一筋縄ではいかないですね。
フリーアナウンサー 野宮範子さん: そうですね、党名という看板を掛け変えただけでは、とてもという感じがするので、その政策と、本当に構造改革が必要だなと思います。よく「政治家が選挙に落ちたらただの人」って言いますけど、逢坂さんもおっしゃっていましたが、落選議員は「ただの人」では困ると思うんですよね。 選挙は多数決で負けたから落選したけれども、民主主義は多数決の原理と、少数派を尊重するっていう2つの概念があるわけだから、その一強政治の中、今こそそういう少数派の意見もすくい取って、野党同士も政策をすり合わせて、国民にとっての選択肢を提示してほしいと思います。
堀キャスター: 国会では、情報活動の司令塔強化を目指す「国家情報会議」創設法が賛成多数で可決されました。これはプライバシーの権利保護などにもかかわってきますので、本来だったら国論を二分するような政策、議論になるはずですが、野党が弱いと中身がよく分からないまま進んでいく部分もあるかなと思います。
医療キャスター 松本裕子さん: 高市政権について、決断の早さとかを評価する声がある一方で、ここまで「一強」という空気が強まってしまうと、おっしゃる通り、私たちの声というか、多様な意見がきちんと反映されているんだろうかと、正直不安に感じますね。 安全保障や情報戦略だけでなくて、物価高や消費税、子育て、医療、介護、生活に直結する不安がすごく大きい時代ですので、野党も含めて、生活者の声をどう受け止めるのかがますます問われてくる時代になると思うので、野党もここで、踏ん張りどころ、頑張ってほしいなと思います。
堀キャスター: 拮抗した状況というのが大事かなっていうところもありますけども。この野党勢力の衰退で、今後、政権色の強い政策が進められることが予想されますが、それに対する有権者の「思い」や「風」を最も近くで感じるのが、選挙区を今まわっている「落選議員」でもあります。