国会会期末まであと1カ月強だが、終盤国会は政府・与党が提出を強行し、野党が反発する法案が目白押しだ。そんな中、再審制度見直しの刑事訴訟法改正案が審議されている衆院法務委員会で10日、気になるやりとりがあった。高市首相が、参院で法案が否決されたら衆院で「再可決」する可能性を否定しなかったのだ。
衆院は自民だけで3分の2超の圧倒的多数がある。参院は連立政権を組む日本維新の会を合わせても過半数に4議席足りない。憲法に<衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる>という規定があり、現状、与党は参院で否決された法案を衆院で再可決できる。
高市首相は法務委で国民民主の議員から、「数の力で押し切ることはないと明言して欲しい」と求められたが、「確実に再審制度を前進させるものと確信しているので、ぜひとも成立させていただきたい」と答弁、数の横暴を否定しなかった。
結局、11日与党が提示した一部修正案に参政党が賛成すると表明し、参院でも過半数を確保できる見通しとなったため、ひとまず“禁じ手”は封印された。
ただ、定数削減法案をめぐっても、維新の吉村洋文代表が「再可決」に言及している。法案は、衆院の定数削減について与野党で検討するとし、法施行から1年以内に結論が出ない場合、比例代表を自動的に45減らす内容だ。維新がゴリ押し、高市首相も維新の意向をくみ、党内に法案を了承させた。中小政党には死活問題で、「法案は審議するに値しない」(国民民主党・古川国対委員長)と野党は猛反発。この法案も参院で否決される可能性があるが、そんな悪法を「再可決」するのかどうか。「国旗損壊罪」を新設する法案も自維が強行に進めているが、これもどうなるか。
ジャーナリストの山田惠資氏はこう言う。
「衆院で再可決するということは参院の議決の否定であり、参院の国会運営に圧力をかけることにもなる。強引にやると支持率に響くリスクがあります。再可決のためには、党の衆院側が一枚岩で結束していなければならないし、参院側にも了承させなければならない。中傷動画疑惑で迷走し、高市さんの求心力が落ちている今、再可決に踏み切れるのかといえば、難しいと思います」
もっとも、いずれの問題法案も提出はまだこれから。会期末までに採決にたどり着けるかは不透明だ。
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