2024年10月、北海道江別市の公園で当時20歳の男子大学生が激しい暴行を受けて死亡した事件の裁判で、札幌地裁(高杉昌希裁判長)は2026年6月25日、強盗致死や詐欺などの罪に問われていた川村葉音被告(21)に対し、有期懲役刑の上限となる懲役30年(求刑・無期懲役)の判決を言い渡しました。
また、共犯の当時18歳の高校生だった男に懲役20年(求刑・懲役20年)、当時16歳の少年に懲役9年以上13年以下の不定期刑(求刑・懲役10年以上15年以下)がそれぞれ言い渡されました。
この裁判では、どのような理由が量刑に影響を及ぼしたのか、判決要旨から事件全体の評価を読み解きます。
極めて残忍で悪質な犯行
【札幌地裁の判決要旨】量刑の理由
本件は、共犯者の八木原被告と被害者の交際トラブルを契機として、八木原被告と一緒にいた被害者を呼び出した。
当時18歳の主犯格の男が被害者に暴行を加えたことを端緒に、他の者も暴行に加わり、その後、金品奪取の意図を生じ、血が付いた衣服の弁償代を払えなどと因縁をつけて、現金、クレジットカード、キャッシュカード等の金品を執拗に要求して根こそぎ奪い取った。
最終的に被害者からキャッシュカードの暗証番号を聞き出すまで、約2時間にもわたって、時には笑いながら、集団で一方的に殴る殴るの苛烈な暴行を断続的に加え続け、被害者のクレジットカードを使用してたばこなどを購入し、同キャッシュカードによる金銭の引き出しを行ったもので、極めて残忍で悪質な犯行である。
被害者が繰り返し謝罪したことも意に介さずに、その頭髪などに火をつけ、何ら落ち度のない被害者に対して土下座での謝罪を強要して、精神的にも甚大な苦痛を与え、最終的には被害者の持ち物をすべて奪った上、寒空の中、被害者を公園に放置し、死に至らしめた。
酌量すべきところは何もない
さらに、被害者が死亡したことが判明してもなお、事件を顧みることのないメッセージのやり取りを続けていたことに照らすと、被害者の生命や尊厳に対する配慮は全くうかがえない。
事件の契機は交際トラブルであり、本来は話合いで解決すべきものであったのに、当事者でもない者が乗り込んで暴力に発展しており、その経緯に酌量すべきところは何もない。
被害者の死亡という結果が重大であることはいうまでもない。被害者は、真面目で頑張り屋、優しく穏やかな人物であり、大学入学後は、サークル、ボランティア、アルバイト、趣味にと、充実した毎日を送っていたという。それなのに20歳という若さで、甚大な肉体的・精神的苦痛を与えられながら、突如、理不尽にも孤独の中、その生涯を終えることを余儀なくされたのであり、その絶望感や無念は察するに余りある。
最も悪質な部類に近い
被害者遺族らの処罰感情が厳しいことは至極当然である。被害者の父は、生前の被害者と2人で旅行に出かけるなど、その関係は大変良好であり、被害者の将来にも大きな期待を待っていたにもかかわらず、本件によりその期待は酷くも失われた。
被害者の母も愛する息子を失ったことを心から悲しんでいる。被害者の姉は、生前の被害者ときょうだい仲がよく、近況を語り合ったり、大好物のラーメンを食べに行ったりするのを楽しみにしていた。それも、今後二度と叶うことはない。
こうした被害者遺族らの喪失感、悲嘆は筆舌に尽くし難く、慰める言葉も容易には見当たらない。以上によれば、本件は、強盗致死罪を含む事案の中でも最も悪質な部類に近いといえ、このような評価は、本件犯行に計画性がないことを踏まえても変わりはない。
※次回の配信記事では、無期懲役を求刑されていた川村葉音被告(21)に懲役30年の判決を言い渡した裁判所の判断理由をお伝えします。
おことわり HBCでは、当時18歳の特定少年の被告を実名で報じるかどうか、事件ごとに判断しています。今回の事件は、1人の大学生の命が失われた結果の重大性、社会的影響の大きさなどを総合的に判断した結果、地上波テレビ放送では実名で報じることにしました。なお、デジタル配信の記事は、半永久的に残るインターネットの特性を考慮して匿名で報じています。