丹下健三氏の「船の体育館」、9月にも本体解体へ 「中止」求める住民と香川県が対立

世界的な建築家・丹下健三氏が設計した旧香川県立体育館(高松市)の解体作業を巡り、保存を求める民間の有志が裁判所に訴訟や仮処分申請をするなど、双方の対立が深まっている。
旧体育館は1964年に完成した。和船のような独特な造形から「船の体育館」と呼ばれて親しまれてきたが、老朽化などを理由に県は2023年に解体を決定。今年4月から工事が始まった。
これに対し、民間の有志でつくる「旧香川県立体育館再生委員会」は6月上旬、高松地裁に解体の中止を求めて仮処分を申し立てた。
申立書によると、旧体育館は優れた建築的価値を持つだけでなく、「歴史と記憶のよりどころとなり、地域特有の良好な景観として人々の歴史的、文化的環境を形作っている」と指摘。取り壊しの中止を訴えている。
さらに5月下旬の夜には、旧体育館の壁面に「Save the Boat Gym」(船の体育館を救え)というメッセージがプロジェクションマッピングで映し出された。地元住民らが抗議の意味を込めて投影したという。
これに対し県は「無断で投影され、好ましいものではない」としている。
9月ごろには建物本体の解体が始まる予定だが、有志らは代替案を示すなどして県側に再考を求める。
一方、池田豊人知事は「保存できないかという強い声があることは認識している」と述べるにとどまり、議論は平行線をたどっている。【森田真潮】