28日に発生した「令和8年熊本地震」。熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震で宇城市と氷川町で震度7を観測し、気象庁は「今後1週間は最大震度7程度の地震に注意」と呼びかけています。30日午前6時までに震度5弱を4回観測するなど現在も地震活動が活発な状態が続いています。
10年前の熊本地震では2度の震度7を観測。10年前の地震との関係や今後の影響を解説します。(MBS 気象・災害担当解説委員 福本晋悟)
専門家「日奈久断層帯の可能性が99%」
2016年の熊本地震では、4月14日に震度7の「前震」が起き、2日後(28時間後)に、震度7の「本震」が発生しました。本震はおもに布田川断層帯で起きたとされています。
京都大学防災研究所の西村卓也教授(地震学)は、「10年前の熊本地震では日奈久断層の北端部分も動いたが、残りは動いていない。断層の中央部や南の部分で大きな地震が起きる可能性が高まっていたのではないか」といいます。
また、今回の震源が日奈久断層帯あたりに位置していることについて、西村教授は「日奈久断層帯とみて、ほぼ間違いない。99%」と話します。
日奈久断層帯の30年発生確率 最も高い区間で「ほぼ0%~16%」
政府の地震調査研究推進本部によりますと、日奈久断層帯は、3つの区間に分類されます。
北から「高野―白旗区間」、「日奈久区間」、「八代海区間」があり、今回の震源位置からすると、今回の地震は「日奈久区間」とみられます。
断層は、一か所ずれる、つまり地震が起きると、周りの断層もずれやすくなる傾向があります。西村教授は「断層の割れ残りに警戒する必要がある。日奈久区間に割れ残りがあるかは議論が分かれるが、八代海区間はまだ動いていない」、「28日と同程度の地震の可能性は排除できない」と、地震への警戒を呼びかけます。
また、今後30年以内の地震発生確率では、日奈久区間は「ほぼ0%~6%」、八代海区間は「ほぼ0%~16%」とされていました。なお、「高野―白旗区間」は断層の活動間隔が「不明」のため、30年以内の発生確率も「不明」となっています。
近畿のSランク活断層は? 大阪の「上町断層帯」の30年発生確率は2~3%
南海トラフ地震への対策が進められている近畿地方にも、30年以内の発生確率が3%以上(Sランク)の活断層があります。大阪府豊中市~岸和田市の地下にある「上町断層帯」の30年発生確率は2~3%とされています。最後に発生したのは9000年以上前。つまりは縄文時代です。
滋賀県高島市~大津市の「琵琶湖西岸断層帯」の「北部」区間は、1~3%とされ、京都市山科区~奈良県桜井市の「奈良盆地東縁断層帯」は、ほぼ0%~5%とされています。いずれもマグニチュードは7クラス想定です。
「活断層があること自体に地震のリスク」熊本地震が突きつけた事実
南海トラフ地震は、過去に100~150年間隔で発生しているため、30年発生確率も「60~90%程度以上」とされています。一方で、内陸の活断層は、活動間隔が数百年~数千年のため、30年発生確率の数値は小さくなります。
仮に、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)が起きる前に、発生確率の計算方法があったならば、その確率は0.02~8%だったとされています。
内陸の活断層地震は、発生間隔が長いことから発生確率の想定は非常に難しいのが実情です。
数%の発生確率にどう向き合うべきか―。10年前と今回の熊本地震が、「活断層があること自体に地震のリスクがある」と、私たちに改めて突き付けています。
◆取材 福本晋悟
MBS報道情報局解説委員(気象・災害)。東日本大震災や西日本豪雨、能登半島地震などの被災地を取材。神戸学院大学現代社会学部客員准教授や「阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター」特別研究調査員も務める。