終戦の日を前に、ロシアのプーチン大統領が実効支配する北方領土を訪問した問題は波紋を広げるばかりだ。「日本国民の感情を傷つけるもので、断じて許容できない」などと抗議した高市首相に対し、プーチン政権は猛反発。総攻撃の様相だ。頼みの米国のトランプ大統領は沙汰なし。インド太平洋でも高市首相の孤立は深まっている。
火種をまいたロシア側の高市首相への反撃は強烈だ。外務省のザハロワ報道官は「日本の高官は生意気にも、ロシアの最高指導者が自国で訪問できる地域とできない地域を指図している」と非難。2010年に国家元首として初めて国後島を訪問したメドベージェフ前大統領は、「好きなだけしゃべればいいが、そんな無駄話では何も変わらない」などとXに投稿した。
矛先は駐日大使を呼び出して抗議した茂木外相にも向けられた。7月のASEAN(東南アジア諸国連合)関連外相会議で「短時間話をした」とされたラブロフ外相は、国営テレビ(14日放映)で茂木発言を「驚いた」と一蹴。全員着席の夕食会中に突然、後ろから肩を触られ、振り向くと茂木氏が「会えてうれしい」などと話しかけてきたという。立つ暇もなかったというラブロフは「握手をして彼は席に戻った。これが2国間関係や地域問題を話し合うことか」と皮肉たっぷり。高市政権を虫けら扱いである。
■岩盤保守層に媚びる靖国神社「遥拝」も悪手
内閣支持率が急落し、求心力低下も著しい高市首相は弱り目にたたり目だ。終戦の日の靖国神社参拝は見送りをにおわせていたが、全国戦没者追悼式が開かれた日本武道館の駐車場で「遥拝」を強行。数百メートル離れた壁越しの靖国に神道形式の「二拝二拍手一拝」で拝礼し、岩盤保守層にアピールしたものの、これまた悪手になりそうだ。高市首相の言動で日中関係は戦後最悪。「高市首相が延命する限りパンダ貸与はない」(日中外交筋)と強硬姿勢を崩さない中、攻撃材料を与えたようなもの。習近平国家主席との蜜月演出を志向するプーチン大統領にはシメシメの展開だ。
筑波大名誉教授の中村逸郎氏(ロシア政治)はこう言う。
「プーチン氏の北方領土訪問は第2次大戦の戦勝国であったことを国内外にアピールし、ウクライナ侵略でも勝利を収めるとの宣言です。国内の厭戦ムードを吹き飛ばすには大国の威信を守る必要があり、高市政権を毛嫌いする習近平氏との関係強化が最も効果的。8月31日からキルギスで開催されるSCO(上海協力機構)首脳会議では中ロ首脳会議もセットされており、9月3日はプーチン政権が2023年に名称変更した対日戦勝記念日。ボルテージを上げてきそうです」
高市叩きが本格化するのはこれからだ。
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