改正皇室典範により旧宮家の男系男子が養子として皇室に入ることが可能になったが、世論調査では依然として「女性天皇」への支持が根強い。実は、その実現の可能性は潰えたわけではない。むしろ、今回の改正によって道が開けてきた可能性があるという。一体、どういうことなのか。
養子縁組について慎重な声が上がる
皇室制度が転換期を迎えるなか、愛子内親王は8月初めに伊勢神宮を参拝、式年遷宮の関連行事「お木曳(きひき)」に参加し、白い法被姿で大綱を引いた。
同行した宮内庁担当記者の話だ。
「観客の視線が、いつも以上に熱を帯びていました。前回の約20年前のお木曳には、当時皇太子だった天皇陛下が参加されています。父が担った役割を受け継いでいくという思いを感じました」
改正された皇室典範では旧宮家の男系男子を養子縁組で皇族とする道が開かれた一方で、女性の天皇は認められないままだ。それでも改正後に行なわれた日経新聞の世論調査では女性天皇に「賛成」が84%に達し、”愛子天皇”を期待する声が強まっていることがわかる。
宮内庁の養子縁組に向けた動きも始まった。
黒田武一郎・長官は8月6日の記者会見で、養子制度について旧宮家男子を養子に迎えることができる常陸宮家、三笠宮家、高円宮家、三笠宮寬仁親王妃家の4宮家の「すべての方々に説明を終えた」と説明した。10月24日に改正皇室典範が施行されれば、旧宮家男子との養子縁組が具体的に動き出す可能性がある。
宮内庁に、旧宮家男系男子との養子縁組について聞くと、「当事者の自由な意思に基づく合意形成を確保し、かつプライバシーを保護する必要があることを踏まえて、慎重な対応が必要であると考えております」(総務課報道室)との回答にとどめたが、旧宮家の皇族入りを「そう簡単ではない」と見るのは宮内庁担当記者の経験がある森暢平・成城大学教授だ。
森氏が重視しているのは、天皇が6月のオランダ、ベルギー訪問前の会見で安定的な皇位継承に関する制度改正について問われ、「国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでいる」と語ったことだ。
「天皇の意向は宮内庁長官がそれまで折々政府には伝えていた。天皇はそれを6月の会見で国民に向けてはっきり口にされた。しかし、直近の世論調査を見ると、旧宮家養子案に国民の理解が得られているとはとても言えない。そういう状況では、天皇が旧宮家男子と皇族の養子縁組を歓迎しているとは思えない。もともと上皇は女性宮家推進ですから、旧宮家養子案に慎重と見られていて、天皇、秋篠宮もそれと同じでしょう。