映画「君の名は」でスターになり、俳優やジャーナリスト、文筆家として国際的に活躍した岸恵子(きし・けいこ)さんが7日、老衰で死去した。93歳だった。告別式は近親者で済ませた。
横浜市出身。1951年にデビューし、53年から公開され、記録的ヒットとなった大庭秀雄監督「君の名は」で主人公の真知子を演じた。映画で身に付けたストールの巻き方は「真知子巻き」と呼ばれ、大流行した。
56年には日仏合作映画「忘れえぬ慕情」に出演したことをきっかけに、監督したイブ・シァンピさんと結婚した。
以後は日本とフランスを行き来しながら、上品で知性を感じさせる演技で、数々の映画に出演。豊田四郎監督「雪国」、市川崑監督「おとうと」、斎藤耕一監督「約束」、シドニー・ポラック監督「ザ・ヤクザ」など国内外の作品で活躍した。2002年には市川監督の「かあちゃん」で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した。
一方で世界に視野を広げ、報道番組のキャスターやドキュメンタリーのリポーターとしても活躍。文才も発揮して「ベラルーシの林檎(りんご)」で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。熟年男女の恋を描いた小説「わりなき恋」(13年)はベストセラーになった。24年にはエッセー集「91歳5か月 いま想(おも)うあの人 あのこと」を出した。
04年に旭日小綬章。11年にフランス芸術文化勲章コマンドゥール。