沖縄県知事選は13日、投票が行われ、自民党などが推薦する前那覇市副市長で新人の古謝玄太氏(42)が初当選を果たした。米軍基地問題で政府と対立する「オール沖縄」勢力から支援を受け、3選を目指した現職の玉城デニー氏(66)ら5人を退けた。
沖縄県知事選で自民が県政を奪還するのは12年ぶり。現役の都道府県知事では2番目の若さとなる。沖縄県で、1972年の本土復帰後生まれの知事が誕生するのは初めて。
古謝氏の陣営は、那覇市内で投票の行方を見守った。午後8時過ぎ、報道各社が当選確実の速報を一斉に流すと、支援者からは歓声と拍手がわき起こった。
古謝氏は万歳をした後、支援者に対し、「責任の重さを痛感している。県民に寄り添う県政を必ず実現していく。沖縄を前に進めていきたい」と語った。
今回選では過去最多の6人が立候補し、古謝、玉城両氏による事実上の一騎打ちとなっていた。主要な争点は経済振興で、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設の是非を巡る論戦は低調だった。
古謝氏は自民党など5党と公明党県本部から推薦を受け、盤石の組織戦を展開した。県民所得は全国との格差が拡大し、沖縄振興予算は減額傾向が続いていると指摘。国と基地問題で対立が続く現県政を批判してきた。政府・与党とのパイプを生かし、県民所得の倍増や米軍基地跡地への産業創出、企業誘致を進めると訴えた。
立候補を表明していた元郵政改革相・下地幹郎氏(65)が告示直前に自民と政策の合意書を交わしたとして出馬を取り消し、古謝氏の支援に回ったことも追い風となった。
玉城氏は今回、オール沖縄勢力を構成する政党から推薦を受けずに支援にとどめ、教育・子育て支援や税収増など2期8年の実績を主張。米兵の父を持ち、母子家庭で育った生い立ちにも触れ、生活困窮者を支援する基金の創設などを訴えた。
「沖縄のことは県民が決める」などと、オール沖縄勢力の原点とも言える沖縄のアイデンティティーを重視する姿勢も打ち出したが支持に広がりを欠き、及ばなかった。
玉城氏は13日午後8時過ぎ、那覇市内で支援者を前にあいさつし、「これが政治の結果だということであれば、しっかりと受け止める」と述べた。
これまでの知事選で主要な争点となってきた辺野古移設について、古謝氏は容認、玉城氏は反対の立場を表明。明確な対立軸だったが、2023年に移設計画を巡る国との法廷闘争で県が敗訴して移設工事が進んでおり、争点としてはかすんだ。
今年3月には辺野古沖で、移設に抗議する団体が運航した小型船が転覆し、研修旅行中の女子高校生らが死亡する事故が発生。SNS上では、移設に反対する玉城氏を誹謗(ひぼう)中傷する投稿が拡散したことも、玉城氏の逆風となった。
沖縄県知事選は1972年の本土復帰後、基地問題を巡って保守と革新が激しく争ってきた。2014年の知事選を機に、「反辺野古」を旗印とする保革共闘のオール沖縄勢力が誕生し、22年の前回選まで同勢力が3連勝していた。だが、同勢力は今年2月の衆院選で県内全4小選挙区で自民候補に負け、市長選でも連敗するなど退潮傾向が顕著だった。今回選までの15回の知事選で、自民系は8勝、反自民系は7勝となる。