災害時に相次ぐ真偽不明のSNS投稿について、鳥取県が監視(モニタリング)する対策を進めている。7月に起きた熊本地震では、真実かどうか疑わしい投稿約20件を熊本県に情報提供した。「デマ対策の広域連携」の先進事例として注目されている。
鳥取県は2024年、SNSで拡散するフェイク情報に対応するため、投稿をモニタリングする特別チームを庁内に発足させた。チームは民間の情報収集システム「ソーシャルリスニングツール」を活用。システムに特定のキーワードを登録すると、該当するSNSの内容が自動検知される。
通常は「鳥取」など、鳥取県に関連したキーワードを登録し、災害時はデマによる被害を防ぐため、「地震」などの検索ワードを追加してモニタリングしている。今年1月6日に県内で震度5強を観測した地震では、実際には確認されていない被害を伝える投稿が拡散し、県は正しい災害情報をSNSで発信した。
7月の熊本地震では、発生後にX(旧ツイッター)や短文投稿アプリ「スレッズ」をチェック。約20件の真偽不明の投稿を見つけ、熊本県に情報提供した。「地震は人工的に起こされた」といったデマや、「地震後、外国人窃盗グループが熊本に集まった」という根拠不明の投稿のほか、生成AI(人工知能)を使い、熊本以外の災害地の映像で作ったとみられる画像もあった。
自治体の対応に関する誤情報も確認された。熊本県八代市の水道事業に関し「外資系企業に委託されているため、復旧が進まない」という投稿や、震度7を観測した宇城市については「自宅避難者への支援物資の配布を断っているらしい」という内容もあった。
読売新聞が両市に確認したところ、八代市は「水道の修繕は市が行う。企業は担当しておらず、外部委託と復旧の遅れは無関係だ」、宇城市は「そういった事実はない」と回答した。
熊本県は疑わしい投稿の情報を鳥取県から受け取り、内容を確認。「ただちに削除要請をするような緊急性の高い投稿はなかった」としているが、熊本県警と情報共有したという。県広報課は「災害時の真偽不明の投稿は、混乱に拍車をかけ、復興を阻害する要因。情報は非常にありがたい」と評価している。
鳥取県の平井伸治知事は「情報を被災地で活用してもらうことが自治体間支援につながる」と話している。
東北大災害科学国際研究所の佐藤翔輔准教授(災害情報学)の話「災害時の偽・誤情報対策は二次被害や現場の混乱を防ぐために有効だが、被災自治体は現場対応で忙しく、SNS対策まで手が回らないのが実情だ。鳥取県の取り組みは先進的といえる。国や自治体間で情報共有や正確な情報発信を行う支援チームの派遣といった連携を構築していくことが重要だ。国には情報収集やモニタリングに関する技術開発も求められる」