富士山の閉山期間中に無謀な登山が後を絶ちません。こうした事態を受け、山梨県は、防災ヘリによる救助を有料化する方針を発表しました。果たして、閉山期間中の無謀な登山の抑止力となっていくのでしょうか。
今、富士山では閉山期間中の無謀な登山が相次いでいます。
この状況に、富士宮市の須藤市長は…。
(静岡・富士宮市 須藤秀忠 市長)
「(救助は)命懸けでやっている。たまたま二次遭難がないからいいけれども、富士山は“聖なる山”で、“死人の山”にしたくない」
これまで富士山の周辺自治体は、静岡県に対し、無謀な登山の禁止や救助費用の有料化など、ルール作りを求め続けてきました。
(須藤市長)
「私たちとしては、まず(閉山期に)登らないでほしい。遭難した場合、周りの人に迷惑をかけないでほしいと思っている」
富士山は9月10日に閉山しています。しかし13日に訪れてみると…富士山富士宮口六合目にはバリケードが張られていますが、登山道を登っている人の姿が見られました。
この日は雨が降っていて気温も低く、霧が濃いときもあり、まさに無謀な登山。わずか30分の間に、通行禁止の登山道から5人が下りてきて、2人が登って行きました。
下山してきた外国人に話を聞くと…。
Q.いつ頃、登られたんですか?
「けさの3時半くらい」
Q.今、山に登ってはいけないというルールをご存じでしたか?
「友達と、それは、ちょっと話はした」
Q.閉山中と知っていたけど、登っちゃった?
「そう」
一緒に登っていた友人たちは頂上に向かい、自身は九合目で折り返したといいます。
(下山した外国人)
「午前5時ごろに、七合目は晴れていて、日は出ていたけど。そこから上に登っていくと、雨が降っていて、結構ぬれた。ちょっとめまいがするから、早めに下りて来た」
後を絶たない閉山期間中の富士登山。9月14日、静岡県庁では、閉山期の無謀な登山を抑制しようと対策が話し合われました。
(静岡県 危機管理部・大嶋文彦 理事)
「富士登山における安全確保のためのガイドラインの内容を、制度化していきたいと思っておりまして、登山届の義務化、また、登山届未提出に対する何らかのペナルティーという方向で考えているというところです。ヘリの手数料徴収につきましては、かなり課題が多いなと気にしていますけれども、現時点でそれをやらないと決めたわけではありません」
ヘリを使用した救助を有料化することについては、現時点では保留であると示しました。
一方、山梨県は9月14日、閉山期の無謀な富士登山について、防災ヘリを有料化する方針を正式に表明。料金は5分当たり8000円程度で検討中だといいます。対象となるのは、9月~6月までの閉山期間中の富士山で、原則は有料となりますが、登山届を提出し、冬山装備などの安全対策を講じた登山者は減免されます。2027年9月からの運用を目指しているということです。
(山梨県・長崎幸太郎 知事)
「万が一遭難が発生すれば、結果として救助をしなければならず、救助をさせられる方々を、“命の危険”にさらすということなので、自由だけ振りかざすのは、やめていただきたい」
無謀な登山を抑制するための防災ヘリ“有料化”。
しかし、そこには、ある懸念もあります。富士山八合目にある診療所、『富士山衛生センター』の医師で、自身も登山家である大城和恵さんはこう指摘します。
(富士山衛生センター・大城和恵 医師)
「(防災ヘリが)有料だからといって、救助要請が遅れてしまうと、状態・環境が悪くなって、逆に救助要請の遅れが救助を難しくする恐れもある。費用負担というのが救助の遅れにつながらなければ良いなと思います」
後を絶たない無謀な富士登山。果たして、有効な対策とは。
2018年から埼玉県は県内の6つの山の指定されたエリアで県の防災ヘリで救助した場合には、救助者から手数料を徴収しています。救助のために飛行した時間の5分ごとに8000円です。実際、有料化前後の5年間で見てみると、救助要請が41件から24件に減っています。県による防災キャンペーンで、職員が現場を訪れ、注意喚起をするなど、救助要請減少に努めているということです。
Q.5分8000円は高いのでしょうか?安いのでしょうか?
(慶応義塾大学大学院 武田秀太郎 准教授)
「安すぎます。なぜかというと、防災ヘリを5分飛ばすのにかかるコストは5万円と言われています。登山届を出せば、登山自体は違法ではないですが、通行止めをしてあるところがあって、それを破って中に進入するのは、違反なわけですよね。違法行為をしている人に、国の税金8割ぐらいディスカウントつけて救助ヘリを飛ばすわけですから、それは納税者からすると、納得がいかないですよね。イタリアの場合は、救助した場合に、200~300万円を請求したという例がありますから、日本もそれぐらいの水準に引き上げるべきだと私は思います」
また、野村修也弁護士は、救助ヘリの有料化には、法律的にも課題があると指摘しています。
(野村修也 弁護士)
「『消防組織法』という法律があって、それだと基本的に消防活動は無料で、自治体が負担すると定められています。これを乗り越えていくためには、色々な条例を作るなどをしないといけない。もう1つは、もし繰り返し“有料で行う”ということをやってしまうと、商売になってしまい、航空法の適用も受けることになる。そうなると、許可が必要になったり、あるいは安全管理規定などを整備しないといけなかったりする。それで恐らく各自治体は悩んでいるんだと思います」
(読売テレビ「情報ライブミヤネ屋」2026年9月15日放送)