重大犯罪の未然防止加速に期待 トクリュウ対策「遠隔解析」導入で新たな局面へ

匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)対策は、政府が犯罪予防の新手法として「遠隔解析」の導入に踏み切ったことで、新たな局面を迎えようとしている。
トクリュウの多くは犯行のやり取りに秘匿性の高い通信アプリを使う。通信内容は暗号化されており、現在の通信傍受法による枠組みでは把握は難しい。警察幹部は「現行の捜査手法が意味を持たなくなっている」と危機感を募らせている。
警察当局は捜査や解析でトクリュウ犯罪の標的を特定し、一部は未然に防いできたが、匿名性・流動性の壁で限界もある。その間も上位者は末端の実行役を入れ替えたり、使い捨てにしたりして犯行を繰り返し、被害は拡大してきた。
トクリュウ撲滅を「治安対策上の最重要課題」と位置づける政府は16日、事態打開を図るため、新手法「遠隔解析」の導入を柱とする警察官職務執行法改正案を衆院に提出した。今国会中に成立する見通しで、トクリュウによる強盗や特殊詐欺などの重大犯罪がすでに行われ、同様の犯罪被害が起きると認められるなど一定の要件を満たした場合に、指示役らが使用する通信端末へのアクセスが可能となる。標的の住所や犯行日時、計画をつかみ、未然防止につなげる。
適正性を担保する手続きも設ける。警察の独断ではなく、裁判官による事前審査を求め、裁判官が認めた範囲外の情報は取得しても削除する。全件を公安委員会に報告するほか、対象者にも事後通知することも定める。