「オリパ」購入者ら「高額カード当たらない」と業者を集団提訴…「広告の表示信じて歯止め利かなくなった」

人気アニメのトレーディングカード(トレカ)を独自に詰め合わせた「オリジナルパック(オリパ)」を巡り、購入者とオンライン販売業者との間でトラブルが相次いでいる。希少なカードを目当てに購入を重ねて生活に窮する人もおり、弁護士が設けた窓口に相談した人は4000人を超えた。専門家は対策が必要と指摘している。(中村俊平)
「『次こそ当たるはず』と思い込み、続けてしまった」。京都府の20歳代の自営業男性はこう振り返る。
オリパは様々なトレカをランダムに封入した商品で、「当たり」として高値で転売できる希少カードが出ることもある。オンラインで購入するには、専用サイト上で代金を支払って取得したポイントを使用。出たカードは実物を配送してもらうか、すぐにポイントに換えて再び購入に使うかを選べる。
小中学生時代からトレカに親しんできた男性は、約2年前にオリパの販売サイトに登録した。スマートフォンを操作して何度か購入するうちに、手軽さや一獲千金を狙えるスリルから病みつきになった。1枚で数十万円の価値のあるカードが当たった時の快感は今でも忘れられないという。
「高額カードが当たる確率は50%」「あと○分○秒で販売終了」。こうした表示にひかれ、オリパの購入を繰り返し、1日で100万円超を投じたこともある。「当たり」はほとんど出ずに疑問を抱きつつ、「このままでは終われない」との思いもあってやめられなかった。弁護士法人の相談窓口を見つけ、9月、「広告がおかしい」と連絡した。
オリパの浪費が原因で食費を削るなど生活は苦しくなり、消費者金融の利用も考えている。男性は「広告の表示を信じて歯止めが利かなくなった面もある。自分の責任でもあるが、誇大広告であれば許せない」と憤る。
「ポケットモンスター」「ワンピース」など人気アニメのキャラクターが描かれたトレカ。コロナ禍の「巣ごもり需要」や、子ども時代に楽しんだ世代が大量購入する「大人買い」などを背景に、市場規模は急拡大している。
日本玩具協会(東京)によると、昨年度の市場規模は2015年度に比べて、3倍超の3384億円に上る。中古品市場に出回った希少カードが、愛好家の間で1枚1000万円以上の高値で取引されるケースもある。
スマホで手軽に取引できるオリパのオンライン販売が広がる中、SNS上では「当たりが全く出ない」などの投稿が後を絶たない。東京都内の弁護士法人が8月に返金などのトラブル相談窓口を開設すると、今月18日までに約4800人(購入総額約198億円)から相談があった。
9月には購入者38人が、販売サイトを運営する東京都や神奈川県の5社に計約2億7300万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。訴状では、各サイトが「50%の確率で希少カードが出る」など実態と異なる過剰な宣伝を実施し、特定商取引法(誇大広告の禁止)や景品表示法に違反したなどと主張している。
原告代理人を務める西川研一弁護士は「高額の支払いで債務整理に至った人もいる。国は新たな消費者問題として対策を検討すべきだ」と語る。
被告となった運営会社のうち2社は取材に、「不当表示の事実はない」「表示した内容の通りに商品の販売や管理を行っている」と違法性を否定。ほかの3社は「回答を差し控える」などとした。被告のうち2社はサイトで、利用規約を改定し、未成年者の利用を一律で停止する方針を明らかにした。
誇大広告などの法令違反に対しては、景表法や特商法を所管する消費者庁が行政処分などを行うが、オリパ販売に関する直接の法規制はないのが実情だ。
ネットビジネスに詳しい田中圭祐弁護士はオリパの販売サイトについて、「購入額を大幅に上回る高額カードを『当たり』として示すなど、射幸心を刺激している」と指摘。「利用者の誤解を招かない広告表示や購入上限額の設定など、業界として適正化に向けたルールを作る必要がある」と話している。