「怖すぎる」「不謹慎」と大炎上。文京区が“ド派手”な督促封筒をやめない本当の理由と本音を聞いた

屈指の文教地区として知られ、「文の京」という愛称でも親しまれている文京区。

東京大学をはじめとする数々の教育機関があることや、治安の良さから、今年5月に大東建託が発表した「住みここち(自治体)ランキング」では2位、「住みたい街(自治体)ランキング」では4位にランクインした。

そんな評価の高い文京区だが、意外な一面でも注目を集めている。近年SNS上では「督促封筒が派手すぎる」と大きな話題になっているのだ。

◆「不謹慎」の声も…SNSで賛否を呼んだ督促状

督促封筒は国民健康保険の滞納者に向けて区国保年金課が発送しているものだが、そのデザインがあまりに強烈だ。封筒全体を彩る奇抜なイラストに、凄みのあるフォントで記された「至急開封」の文字……。この封筒が突然届けば、滞納者は事情がどうであれ、開封せずにはいられないだろう。

今回、この“派手すぎて怖すぎる督促封筒”について、制作・発行を担当する文京区福祉部国保年金課に取材を行った。

◆「お役所らしくない」デザインはなぜ生まれたのか

目を引くデザインを採用して納付を促すというのは、一般的な文京区のイメージとはかけ離れた試みのように思える。どのようにしてアイデアが生まれたのだろう?

「法の規定では、『督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しない場合には、滞納者の財産を差し押さえなければならない』ことが定められています。督促状が見落とされ差し押さえに至ってしまうことのないよう、受け取った方の目に留まるにはどうしたらいいか、試行錯誤するなかで作成いたしました。

とくに若い世代の納付率向上が課題と捉えていたため、表面は、インターネット動画配信などでコメントが流れる様子をモチーフとし、裏面は、外国の方にも人気のあるアニメなどの表現手法を参考にさせていただきました」

◆「至急開封」の文字に込めた“計算”

デザインの方向性については、「職員がデザイン案を出し合い、所属長の承認を得て決めてきた」とのこと。ネット上では封筒のさまざまなバリエーションも報告されているが、色やデザインによって、開封率や案件処理率に差が出るのかが気になるところだ。

「封筒だけの効果ではありませんが、多色刷りデザインの採用以降、年間収納率は向上しております」

◆気になる効果は? 批判の声にも担当課が明かした「本音」

“派手すぎる督促封筒”は、一定の効果を上げているようだ。しかし、こうしたデザインは受け取り手に大きな心理的衝撃を与えることも想像に難くない。実際に督促封筒を受け取った滞納者からの反響について尋ねると、次のような回答があった。

「今回のデザインにつきましては、『不謹慎である』といったお叱りの声を非常に多く頂戴いたしました。役所として、ご高齢の方やさまざまなご事情を抱えた方への配慮が足りなかったと反省しております。今後はこうした様々なご意見を真摯に受け止めながら徴収業務に当たってまいります。」

======

暮らしやすい町として選ばれる背景には区政があり、その土台には職員たちによる日々の試行錯誤がある。円滑な納付に向けた文京区の模索は、今後も続きそうだ。

<取材・文/蜜ツ冶(A4studio)>