8月下旬に富山県内を襲った記録的な大雨から、27日で2か月がすぎた。氷見市周辺では「1000年に1度程度」のまれな雨が降っていたと推定されることが、国立研究開発法人・防災科学技術研究所の解析でわかった。専門家は「今後、同じ規模の雨が降る回数は増えるだろう」と警鐘を鳴らしている。(原中翔輝)
同研究所は、気象庁がもつ各地域の過去約30年の雨量データを基に、3、6、24時間などの雨量ごとに、「何年に1度の規模に当たるか」を割り出している。
分析によると、同市周辺の27日午前6時までの6時間雨量は「1000年に1度程度」と極めてまれな大雨だった。高岡市伏木地区でも、氷見に匹敵する雨が降ったとみられるという。
台風や大雨災害に詳しい同研究所の飯塚聡・極端気象災害研究領域長は「富山は大雨災害が少ない印象だった。普段の経験ではありえない雨が降り、被害につながった」と指摘する。
全国では過去に、東日本を中心に死者・行方不明者計120人超を数えた、2019年の台風19号により氾濫した千曲川や阿武隈川流域で、24時間で「100年以上に1度程度」の雨が降った。また、今年8月の千葉豪雨や24年9月の石川県奥能登豪雨でも、24時間で「100年以上に1度程度」だった場所があった。
今回の富山県内での大雨は、北陸地方にかかる前線に向かって次々に湿った空気が流れ込んだこと、地球温暖化の影響で海面水温が高く、大気中の水蒸気の量が増えていたことが主な原因とみられる。
飯塚さんは「全国で大雨が増加傾向にあるのはデータ上も明らかだ。県内の別の地域でも今回と同じような規模の雨が降る可能性はある」と語る。大雨に備え、アンダーパスなどの危険箇所を事前にハザードマップで確認することが重要だとしている。
2日間で落雷1万回以上
県内では8月26~27日の2日間で1万回以上の落雷が観測されたことが、気象情報会社「フランクリン・ジャパン」(相模原市)のデータでわかった。県内の1か月平均落雷数の3・7倍に上り、同社は「これだけ集中したのは異常だ」としている。
同社は全国で、落雷の位置や時刻を把握できる、観測システムを運用している。同社によると、県内では8月26日に約5500回、同27日に約5200回の落雷があった。
26日午後10時台の1時間には3300回を記録した。2016~25年の10年間の1か月平均落雷数は2900回だといい、わずか1時間で上回った。同社の気象予報士、重田絵里奈さんは「普段落雷が多い地域と比べても、短時間にこれだけの雷が落ちるのはめったにない」と指摘する。
8月26日は富山市石坂で、最高気温34・4度を観測。そこに寒気が流れ込んだといい、重田さんは「地上と上空の気温差が大きかったことが、異常な落雷をもたらした」とみる。
県内では、落雷が原因とみられる火災も発生した。
8月27日午前1時5分頃、氷見市島尾の木造2階住宅から出火、約192平方メートルを全焼した。氷見署によると、在宅していた2人は無事だった。住民が出火直前に落雷の音を聞いたという。
小矢部市道明でも同26日午後11時20分頃、木造2階の納屋から出火、約246平方メートルを全焼した。けが人はいなかった。