熊本地震から3年半がたち、プレハブ仮設団地の集約に向けた動きが本格化している。熊本県益城町は入居者を対象に説明会を開催。仮設団地で暮らす被災者が減ったため、町は木造バリアフリーの福富団地6戸を除く町内17カ所の仮設団地を来年6月から木山仮設団地に順次集約していく予定だ。しかし、仮設から仮設へと転居を余儀なくされる人の間では「また転居か」というため息と共に不安の声が広がりつつある。
益城町では熊本地震後、町内17カ所に計1556戸のプレハブ仮設住宅が整備された。しかし、自宅再建、災害公営住宅(復興住宅)入居などで来年9月以降の入居戸数は100戸程度に減ると町はみている。大規模仮設に数戸のみで生活することは防犯上難しいため、1カ所に集約することとなった。町は移転する被災世帯には引っ越し費用などを10万円を限度に支給する。
しかし、移転を強いられることになった被災世帯の間では、戸惑いや心配が広がる。県内最大のテクノ仮設団地に家族5人で暮らす女性(35)は「うちは家族が多く、家財も多い。10万円で足りるのか」と表情を曇らせた。自宅再建を目指すが、土地の土台工事は順番待ちで「仮設暮らしはまだ2、3年は続くでしょう」。転居すれば、今はバス通学の中学1年の子どもは自転車通学になり、自転車を新たに買わなければならない。「出費はどこまで増えるのか。異なる環境で暮らす負担もあるのに」
津森仮設団地で説明会に参加した女性(79)は「木山に移ると、畑が更に遠くなる。草刈りや水やりなどで連日行かなければならないのに」。高齢の夫は仮設に移ってからつえがなければ歩けなくなった。「もう夫は重たい物は持てない。これからの荷造りが大変です」と心細げだった。
復興に伴う道路整備、区画整理などの事業は5年以上かかる予定で、事業完了によって自宅再建ができる世帯には、再建時期が見通せない。町では、今後も長期にわたって仮設で生活せざるを得ない人たちが出てくる可能性もあるとみており、復興の道のりは遠い。
テクノ仮設団地自治会連合会の池田正三会長(79)は「困る人が出てこなければいいが」と懸念する。【山本泰久】