浜大津(大津市)―近江今津(滋賀県高島市)を結んだ「江若(こうじゃく)鉄道」が廃線から50年となったのに合わせ、ミニ企画展「江若鉄道―思い出の品々―」が大津市御陵町の大津市歴史博物館で開かれている。当時の列車の写真や使われていた切符など、約150点を展示。湖西の大動脈を担った、半世紀前の往時をしのばせる。12月1日まで。
江若鉄道は滋賀(近江)と福井(若狭)を結ぶ鉄道として計画された。1920(大正9)年には「江若鉄道株式会社」が設立。公共交通機関のなかった湖西の住民にとって鉄道敷設は悲願とされ、住民が1株50円(当時の米1石、農地100平方メートルの価格に相当)の株を買って資金不足を補ったことから「住民鉄道」とも呼ばれる。当時の株主は5820人に及んだという。
会社設立の翌21(同10)年に三井寺―叡山間が開通し、31(昭和6)年には浜大津―近江今津間の約51・1キロまで延伸。湖西の住民の足を担ったが、モータリゼーションの進展に伴い乗降客数は徐々に減少していった。一方、旧国鉄(現JR)の湖西線の建設決定で、江若鉄道の一部区間が転用されることになり、69(同44)年に江若鉄道は廃線。当初計画した福井への延伸は、かなわなかった。
企画展では、白鬚神社(高島市)のそばを通る列車や蒸気機関車など当時の写真のパネルや、切符や看板などを展示。木津勝学芸員は「展示品の解説に提供者の来歴などを入れ、提供者の思いを読み取れるよう工夫した。江若鉄道に関わった人の思いに触れることで、当時を感じてもらいたい」と話した。
来月4日には、江若鉄道の元社員を囲む座談会を開催。滋賀の鉄道を研究する「びわ湖鉄道歴史研究会」などが企画し、当時の運転士のほか、整備や通信に携わった元社員らが江若鉄道を語る。元社員の溝好雄さん(82)は「失敗談など今だから話せることが、たくさんある。元社員も高齢化しており、愛し続けた『江若鉄道』の名前が後世まで残ってくれれば」と願った。
入館は午前9時~午後4時半。観覧料は一般330円、高校・大学生240円、小中学生160円。月曜休館(来月4日は開館)。座談会は申し込み不要で無料。問い合わせは同博物館(077・521・2100)。【諸隈美紗稀】