全国で相次ぐ学校法人の不正 独断的な経営、チェック甘く

明浄学院の資金流用疑惑の背景には、元理事長の独断的な学校経営がある。学校法人を巡る不正は全国で相次いでおり、チェック態勢の強化が課題だ。
元理事長は1億円を仮想通貨(暗号資産)に流用する際、理事会に諮らずに関連会社に支出。土地売却の手付金21億円についても理事会で十分な説明をせずに不動産仲介会社に預け、他の理事らは長期間、所在不明になっていることに気づかなかった。
嘉悦大などを経営する学校法人・嘉悦学園(東京都)では2015年、当時の理事長らに実態のない給与や手当が支払われていたことが発覚。学園は翌年、不正支出が約1億円に上ると発表し、「創業家による同族経営が規範意識の欠如につながった」と謝罪した。
学校法人・大阪産業大(大阪府大東市)でも15年、運営する中学・高校で剰余金など計約2億7000万円を裏金にし、飲食などに流用していたことが発覚。主導した元校長らは、調査委員会で「絶対的な存在だった」と指摘された。
文部科学省は理事が不正を把握した場合に監事への報告を義務づけるなど、チェック機能の強化策を検討している。【藤河匠、加藤栄】