アパレル大手のワールドグループに属するスタイルフォース(東京都中央区)と整体サロン「カラダファクトリー」を運営するファクトリージャパングループ(東京都千代田区)は10月25日、両社間で福利厚生に関する提携を結んだと発表した。これに伴い、「従業員満足度」の向上を目的としたイベントを開催した。
イベントでは、両社の2020年4月入社予定の採用内定者も参加。両社の事業内容や内定者に対するメッセージを中心に、お互いの企業が提供するサービスを披露しあう2つのステージも設けられた。
1つ目が、ファッションショーだ。ワールドグループで日々店舗に立ち、お客とコミュニケーションをしているスタッフが、ファクトリージャパン社員のコーディネートを行った。イベントに参加したファクトリージャパンの内定者は、スーツのコーディネートを体験。事前には「ネクタイの結び方やジャケットの着こなしなどに不安を持っている」と話していたが、プロのコーディネートを体験した後「普段は着ないようなスーツコーディネートを提案してもらい、新たな着こなしや服装に関する知識を得られた」と満足そうな表情を見せた。
2つ目は、整体施術だ。カラダファクトリーの整体師が、ワールドグループの従業員に施術を行った。ワールドグループの上級執行役員を務める谷村耕一氏も施術を体験。「これまでほとんど整体に行ったことがない」と話していたが、数十分行われた施術の効果に驚いていた。
「従業員満足度」の向上へ
担当者によると、今回の提携はスタイルフォース側から声掛けがあったという。「両社のテナントが一緒に入っている商業施設も多く、全国規模でチェーンを展開している企業同士、何かスタッフの悩みを解消することができないか考えたのがきっかけ」(担当者)。スタイルフォースの属するワールドグループでは、7、8年ほど前からこうしたイベントを開催しているという。例えば、「ドレッサーズカフェ」というイベントでは、入社してから数年の若手社員と内定者とが親睦を深め、販売やアパレルを好きになってもらうような仕組みを整えている。
ファクトリージャパンも、同様のイベントを開催している。同社では、08年から社員を集めた運動会を実施。入社以前から社員との交流を深めることで、入社後に感じるギャップを抑えたり、同期入社同士での結束を高めたりする狙いがあるという。
ファクトリージャパンは「人軸経営」を掲げる。内定者だけでなく、既に働いている従業員向けの施策も豊富だ。例えば、全国各地のスタッフを集め、技術を競い合う「匠の技コンテスト」を実施。自分の所属するサロンだけでなく、全国にいる整体師と比較して自分がどのような立ち位置にいるのかを知ることで、チャレンジ精神をかき立てる狙いがある。また、サロンのフランチャイズ化も進める。一定以上の条件を満たした従業員に対して「のれん分け」できる制度も用意。柔軟なキャリアを支援することで、整体師の高いモチベーションを維持している。
人手不足の昨今、企業は顧客に対するサービスではなく、自らの従業員に対しても満足度の向上が求められている。