最澄もゲゲゲ? 比叡山が鬼太郎とコラボ 初公開「大書院」に妖怪画勢ぞろい

2021年に天台宗の開祖、最澄(伝教大師)の没後1200年を迎えるのを前に、比叡山延暦寺(大津市坂本本町)にある国の登録有形文化財「大書院」が特別公開されている。普段は非公開だが、一般公開は初。大書院内では比叡山に伝わる七不思議と、漫画家・水木しげるさん(1922~2015年)の代表作「ゲゲゲの鬼太郎」がコラボした絵画展も開催。前期は31日まで、後期は11月6日~12月8日。前後期の間は別のイベントのため、休館する。
大書院は書院造りの木造2階建てで、総面積は約940平方メートル。唐破風の車寄せのある玄関や大広間などを備え、国賓の休憩所や、延暦寺の重要行事の際に使われている。
元は明治時代の実業家で「たばこ王」と呼ばれた村井吉兵衛の邸宅の一部。東京・赤坂にあったが、1928(昭和3)年の昭和天皇の「即位の礼」などに合わせて移築された。移築の際は一度解体され、列車で滋賀まで運ばれた後、地元の住民が担いで比叡山まで持ち上げたという。
比叡山の七不思議と「鬼太郎」がコラボした絵画展では、染織製品の制作・販売業「京都豊和堂」(京都市上京区)の絵師が描いた作品など約20点を展示。鬼太郎や「ねずみ男」など鬼太郎のキャラクターと、七不思議に登場する「一つ目小僧」「なすび色の老女」などが描かれている。
同社社長で絵師の山田晋也さん(44)は「仏教の考えを親しみやすく描いた。先人の思いを感じてほしい」。延暦寺参拝部の星野最宥(さいゆう)主事は「建物や歴史、絵にそれぞれ興味がある方に、大書院の魅力を楽しんでもらえれば」と話した。
境内にある「喫茶れいほう」では12月8日まで、鬼太郎や「目玉おやじ」が描かれたラテ(いずれも税込み700円)も提供。大書院の拝観料は大人・中高生1000円、小学生は無料。別途、延暦寺の巡拝料が必要。大書院の入館受け付けは午前10時~午後3時半。【諸隈美紗稀】