一審無罪の男に無期懲役=妻子殺害、やり直し裁判員裁判―さいたま

埼玉県志木市で2008年、自宅に放火し妻子を殺害したとして、殺人や現住建造物等放火などの罪に問われた山野輝之被告(45)の差し戻し審の裁判員裁判判決が31日、さいたま地裁であった。北村和裁判長は「火災発生の近接時刻に外出し、動機もあったことから、被告が放火したと認められる」などと述べ、求刑通り無期懲役を言い渡した。
無罪とした一審同地裁判決を東京高裁が破棄、最高裁がこれを支持し審理が差し戻されていた。
北村裁判長は「不倫相手との再婚に障害となる妻子を殺害しようと犯行に及んだと考えられ、身勝手で同情の余地はない」と非難。弁護側は、精神疾患を患っていた妻が放火した可能性があると無罪を主張していたが、「妻は睡眠導入剤などの影響下にあり、犯人であるとは合理的に判断できない」と退けた。
判決によると、山野被告は08年12月、自宅に放火し、妻奈穂子さん=当時(33)=と、長女の真弥ちゃん=同(12)=を一酸化炭素中毒で死亡させた。
東京高裁は16年7月、一審が無罪の根拠とした自宅の燃焼実験について、「刑事裁判の基礎にできるような再現性があるとは認められない」として、判決を破棄した。
[時事通信社]