首里城、30年に及ぶ復元工事…今年1月終えたばかり

朱の瓦が美しい中国の王宮風の建築に、日本の城郭に見られる唐破風(からはふ)屋根を付けた首里城は、両国の文化を取り入れた琉球文化の象徴で、戦前には正殿が国宝に指定されていた。
沖縄戦による焼失を経て、30年に及ぶ復元工事を今年1月に終えたばかりだった。
復元プロジェクトの初期から携わった元沖縄県副知事の高良倉吉・琉球大名誉教授(琉球史)は、「首里城は沖縄の歴史そのもの。戦争では多くの生命とともに文化財も失われ、その代表が首里城だった」と語る。
正殿の復元工事は、戦前撮影された写真や古文書を基に1989年に着工、92年に完成し、首里城公園として開園。今年1月に全エリアが完工した。2017年度には285万人の観光客が訪れ、昨年12月には入園者の累計が6000万人に達するなど、沖縄を代表する観光地となっている。
高良名誉教授は、「沖縄の歴史を取り戻そうという一心で研究者や宮大工、職人の英知を結集して復元をやっと終えたばかりだったのに、また失われてしまった」と声を詰まらせた。