袴田事件の冊子作製 法律用語少なめ分かりやすく 弁護団

1966年に静岡市(旧清水市)で起きた「袴田事件」で死刑が確定し、2014年の静岡地裁の再審開始決定で釈放された袴田巌元被告(83)の弁護団などが、姉の秀子さん(86)や弁護士のインタビューなどをまとめた冊子を作った。裁判に詳しくない人にも分かりやすくしたといい、編集の大部分を担当した支援者の猪野待子さんは「事件を知らない人たちに、手に取ってもらえたらうれしい」としている。【古川幸奈】
冊子は全79ページ。冒頭は、袴田さんと浜松市の自宅で暮らす秀子さんのインタビュー。釈放後の穏やかな暮らしや、弟に対する思いなどがつづられている。袴田巌死刑囚救援議員連盟の鈴木貴子・衆院議員らのメッセージも掲載した。
ページを最も多く割いたのは、西嶋勝彦弁護団長ら弁護士6人のインタビュー。再審開始決定を取り消した昨年の東京高裁の判断や、有罪判決の根拠となった証拠などについて議論されている。弁護団の小川秀世事務局長や若手弁護士による座談会の様子も収められている。
袴田さんが獄中から家族へ送り続けた手紙の一部も公開されており、秀子さんら家族と写った幼少期の写真なども掲載。刑事裁判の推定無罪の原則や再審制度の基礎知識、県内の著名冤罪(えんざい)事件なども解説している。
秀子さんは「前々から『一般の人が読みやすいものを』と言ってきた。難解な法律用語は少なく、よく仕上がっていると思う」と話す。冊子は集会などで配布する予定。