ハロウィーン本番の10月31日や直前の週末に大勢の仮装した若者や外国人らが集まった東京・渋谷のスクランブル交差点周辺。渋谷区は今年、渋谷駅周辺での夜間の路上飲酒を禁じる条例を制定し、業者にも酒の販売自粛を求めた。しかし、条例には罰則がなく、自粛に応じない店舗の前では飲酒する人が集まるなど実効性に課題を残した。
31日午後11時半ごろ、渋谷区道玄坂のセブン―イレブンの店舗では、酒類販売コーナーに透明のビニールシートが掛けられ、「渋谷区の要請により、31日午後6時から翌朝5時まで酒類販売を全て自粛します」という張り紙がされていた。
しかし、棚にはビールや酎ハイの缶やワインの瓶などが陳列されたままで、仮装姿などで入店した人は次々と商品を取り出した。店員も注意をせずに販売し、購入者は店先の路上で飲んでいた。
缶酎ハイを飲んでいた女性は「条例で路上飲酒が禁止されていることは知らなかった。販売自粛の張り紙も気付かなかった」と話した。ボランティアでごみ収集をしていた男性(32)は、酒の空き缶が大量に入った袋を持ちながら「客も店舗もモラルが問われている。ルールは守られるべきだ」と訴えた。
セブン―イレブンを傘下に持つセブン&アイ・ホールディングスの広報担当者は「酒の販売は店舗のオーナーが判断することで、自粛を強制はできない」と説明した。
渋谷区はハロウィーン期間中、3人1組の職員を数組巡回させ、禁止地域での路上飲酒を発見すれば指導する対策を取った。区広報コミュニケーション課は「条例違反への罰則導入まではハードルが高い。安全で安心な街にするため、今後も酒の販売自粛要請を続ける」と話した。