台風19号1カ月 前向きになる人やボランティアに感謝する人も

台風19号の上陸から1カ月がたち、冬の到来が近づく被災地では少しずつ生活再建への動きが始まっている。「やることがいっぱいある」。長期化する避難生活に疲労をにじませる人がいる一方で、前を向く被災者もいる。
千曲川の堤防決壊で甚大な浸水被害が出た長野市穂保では、住民らが12日も早朝から自宅の片付け作業に追われた。
「もう1カ月。早いなあ」。リンゴ農家の男性(85)は自宅が床上浸水し、ボランティアの助けを借りて家具の処分や泥のかき出しを進めてきた。「生活のサイクルが変わってしまった」。楽しみながら畑の手入れをしていた日常は失われたままだ。「リンゴ栽培は地元の基幹産業。若者が希望を持てるようにして」と行政の支援に期待を寄せた。
阿武隈川や支流の氾濫などで6人が亡くなった福島県郡山市では、約340人が避難を続ける。子どもたちの明るい声が響く中、市立芳賀小学校の体育館での生活を余儀なくされる三本木宏彰さん(65)は「ここは退屈。落ち着かない」と疲れ切った様子だ。段ボールベッドが合わず、体操マットで寝る生活で足腰の持病が悪化した。今月中旬に高齢者施設に移るといい、「本格的に寒くなる前でよかった」と自分に言い聞かせるように話した。
宮城県丸森町で今も自宅の片付けを続ける無職佐藤和夫さん(63)は「1カ月は本当にすぐだった」と振り返る。「屋根の修理や新しい家財の購入など、まだまだすることがたくさんで頭がいっぱい」と緊張が抜け切らない様子だ。
同町の自動車工場で働く女性は「多くのボランティアに来てもらって本当に助かった」と感謝する。工場の機械などが浸水被害に遭ったといい、「以前の状態まで戻るのにどのくらいの時間がかかるか分からないが、これからは自分たちでするしかない」と前を向いた。