3Dプリンターで人工血管 佐賀大が臨床研究、来春移植へ

佐賀大は12日、佐賀市の同大医学部で記者会見を開き、患者本人の細胞から「バイオ3Dプリンター」で作った人工血管を移植する臨床研究を始めると発表した。透析を必要とする末期腎不全患者3人が対象で、順調に進めば来春にも移植する。同大によると、3Dプリンターで作った細胞臓器を移植する臨床研究は世界的にも珍しいという。
研究は中山功一教授(臓器再生医工学)と伊藤学助教(胸部・心臓血管外科)らのチームにより進められる。今後、患者の同意を得てそけい部の皮膚(約1センチ×3センチ)を採取し、愛知県蒲郡(がまごおり)市で人工血管(直径約5センチ、長さ約5センチ)を製造。来春にも佐賀大医学部付属病院で患者の肘から前腕の動静脈に移植する。術後、約半年間は血管の状態などを観察し、その後も約3年間追跡調査する予定という。
3Dプリンターによる臓器製作は、細胞を培養して直径約0・5ミリの塊を作り、血管の三次元データに基づいて塊を剣山のような土台に串刺しにすることで、数日間で細胞同士が結合する。蒲郡市民病院による臨床研究計画の審査を経て、今月7日に厚生労働省が計画を受理した。
これまで人工透析で使われてきた血管の分路(シャント)は樹脂製で内部が詰まって血流が悪くなるなどの不具合が起こることがある。中山教授は「臨床研究で患者と一緒に進めていく段階になった。想定しないことも起こりうるため、慎重に進めていきたい」と語った。【関東晋慈】