ひげをそらなかったことを理由に不当に低い人事評価を受けたとして、大阪市営地下鉄(当時)の運転士2人が、市に慰謝料など計約450万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は6日、市に計44万円の支払いを命じた1審・大阪地裁判決を支持し、市側の控訴を棄却した。江口とし子裁判長は1審と同様に「市の評価は裁量権を逸脱し、違法だ」と指摘した。
市は2012年、職員の服務規律を強化する条例を制定。市交通局(当時)も、ひげをそるよう求める内規を設けた。従わなかった2人は13、14年度の人事査定で低評価を受けた。
判決は、ひげを生やすことは「個人的自由に属する」とした1審判決を追認。そらないことは「ただちにルール違反には当たらない」として、評価を下げる主な理由としたことは違法と結論付けた。
一方、内規には拘束力がなく、制定したこと自体は違法と言えないと判断した。
判決後に記者会見した原告の河野英司さん(57)は20年以上ひげを生やし続けており、「ひげが無いと自分ではない」と強調。「常識の範囲内であれば、容姿は自分で決められるという考えが広まってほしい」と訴えた。
松井一郎市長は「判決内容を精査し対応を検討する」とのコメントを出した。【村松洋】