紙の手帳が根強い人気 働く女性の9割「来年も使う」 名古屋の会社調査

文具店に新年のスケジュール手帳が並ぶ季節。名古屋市内の老舗手帳会社が今年10月、全国の働く女性を対象に行った調査では「来年も手帳を使う」と答えた人は9割近くに上り、スケジュールアプリなどデジタルツールが浸透するなか、根強い人気をうかがわせた。近年は人生の夢や目標など自分に向き合う記録としての活用が進んでおり、支持を広げている。
調査は、伊藤手帳(名古屋市東区)が、個人向け手帳で主な購買層である女性を対象にインターネットで実施。手帳を使う全国30~40歳代の働く女性431人から回答を得た。
回答では、デジタルツールとの併用が6割で、残りは手帳のみの活用だった。デジタルツールを使わない理由は最多が「入力が面倒」(50%)で、「手書きの方が記憶に残る」と続く。また、目的は日程管理(71%)のほか、体重、支出、睡眠時間などの記録(34%)▽日々の出来事(31%)▽自分の気持ちと向き合う(23%)▽夢の目標の記入や管理(20%)など、将来を見据えた記録としても使われている。
伊藤手帳の昨年の売上高(通販部門)は、2011年以降で最高を記録した。家庭と仕事両方の日程管理をする女性が手帳をよく使っているとみている。同社広報の神谷敦子さんは「やることが増えている中、一層、自分と向き合うことが重視されていく」と手帳人気を分析している。
一方、手帳事業などを行う「日本能率協会マネジメントセンター」(東京)が昨年5月に実施した全国20~60代の男女約1万9000人対象のインターネット調査によると、日程管理の主なツールはトップが「手帳」(29%)で、2位のスマホを上回った。特に20代女性が男女世代別でトップ(36%)を占め、若い世代にも愛用されている結果となった。多彩なシールも出回っているほか、すべきことを記号で管理する米国発祥の手帳術「バレットジャーナル」の人気などで、自分仕様で作る楽しさも注目されているという。これを受けて同社は今年、メモスペースを大きくした新商品を発表した。
ピーク時には3500種類が並ぶ東急ハンズ名古屋店(名古屋市中村区)では、目標を先に示し、達成に向けた日程を書くものなどが人気。カラフルなシールやアクセサリー類も豊富で、好みの手帳作りができる所も受けている。
デジタル時代でもなお、すぐに書き込める紙の手帳の人気は続きそうだ。【岡村恵子】