プログラミングコンテスト運営などを手掛けるAtCoder(東京都新宿区)は、12月14日からプログラミングスキルに関する検定「アルゴリズム実技検定」を開始する。受験費用は、個人で受験する場合、8800円(税込、以下同)。団体受験の場合、30人以上だと1人7040円、100人以上の場合は1人6160円かかる。ビジネスとITが不可分に結びつく時代において、IT従事者が自分の能力を可視化することを補助するとともに、企業側にとっても分かりやすい制度を構築する狙いがある。
同検定では、オンラインで「アルゴリズムをデザインし、コーディングする能力」を測る。具体的には、プログラムの仕様が与えられ、受験者はその仕様を満たすプログラムを1から作成する。例えば、「数人で旅行する際、複数の移動手段があると仮定する。ある移動手段では、1人当たり~~円がかかり、もう一方の手段では○○人につきX円かかる。この際、交通費の合計を最小に抑えるにはどのように移動すればよいか」といった問題が発表会では例示された。
同社の高橋直大社長によると、これまでもITスキルに関する検定は存在した。しかし知識を問うものがほとんどで、実際に手を動かしてどのようなことをできるのか、を問うようなものはなかなかなかったという。
その背景には、プログラムを「採点する」ことの難しさがあるという。ある条件に沿うプログラムは、たった1つ存在するのではなく、通常複数通り存在する。答えられたプログラムが解答として間違っていないかを1件ずつ採点していくのには技術的なハードルがあった。しかし、AtCoderは自社でプログラミングコンテストを運営している。そのため、プログラムの正誤を判断する技術を有しており、今回の検定開始に至った。「知識は問えないが、プログラミングに関する『基礎体力』を測ることができるのが強み。ITに関するスキルは日進月歩で、これからは変化に対応し続けられる基礎体力の高い人が必要になる」と高橋社長は話す。
「面接で自分のスキルが適切に評価されない」
AtCoderはこれまで、プログラミングコンテストなどを通じてプログラマーの実力測定を図るとともに、IT人材と企業のマッチングにも努めてきた。企業と合同で、その企業が抱えている業務上の課題を解決できるプログラミングのコンテストなども行っている。
一方で、コンテストは10回ほど参加をしないと自分のレーティングが分からなかったり、技術レベルが高い人の参加が多い傾向にあったりする課題があった。そこで、より間口を広げるために今回の検定を開始したという。検定では、5時間を通して問題を解き、即日中に結果が出るという。
また、企業側にも、IT人材のスキルを適切に評価することに課題があるという。AtCoderの担当者によると、「自分は技術者として採用面接を受けているのに、面接では人物面の質問ばかりで技術に関するスキルが適切に評価されているとは思えない」と不満を抱える就活生も多いという。今回の検定では、スコアに沿って5段階に受験者をランク付け。合格したランクに沿って証明を発行することで、企業側にスキルを客観的に示せるようにする。
経済産業省発表の「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」によると、2030年には最大で80万人ほどIT人材が供給不足になるとされている。こうした背景には、企業側がIT人材の評価をうまく行えていない現状もある。検定でIT人材のスキルを可視化することにより、日本を取り巻くIT人材の状況はどのように変わっていくのだろうか。