「最強」台風上陸、1人死亡…JRは混乱続く

強い台風15号は9日午前5時頃、千葉市付近に上陸し、関東を暴風域に巻き込みながら北上した。読売新聞のまとめでは東京都で1人が死亡したほか、千葉県などで少なくとも36人が負傷した。関東への上陸は3年ぶり。上陸した台風としては過去最強クラスとなった。首都圏の鉄道各社は始発からの運転を事前に見合わせる「計画運休」を実施。JR山手線などでは当初見込んでいた運行再開時間がずれ込むなど混乱した。
気象庁によると、台風は同日正午現在、福島県いわき市の東南東約70キロを時速30キロで北東へ進んでいる。中心気圧は970ヘクト・パスカル、中心付近の最大風速は35メートル。関東上陸は2016年8月の台風9号以来となった。
各地で猛烈な風が吹き、最大瞬間風速は千葉市中央区で57・5メートルを記録するなど4都県の15地点で観測史上1位を更新。33・9メートルを観測した千葉県市原市では、ゴルフ練習場でネットを支える支柱が倒れて住宅を直撃した。
東京都世田谷区の路上では早朝、50歳代女性が倒れているのが発見され、搬送先の病院で死亡が確認された。警視庁北沢署は女性が強風にあおられ、ビルの外壁に頭をぶつけたとみて調べている。読売新聞のまとめでは、6都県で2人が重傷、少なくとも34人が軽傷を負った。総務省消防庁によると、午前8時現在、茨城など4県で約14万世帯の約33万人に避難勧告・指示が出ている。
JR東日本や私鉄各社は始発から計画運休を行ったが、私鉄の多くは午前7~8時頃に順次運行を再開。一方、JRでは山手線が同8時としていた再開が2時間余り遅れたほか、横須賀線など再開の見込みが立っていない路線もある。東海道新幹線は始発から一部区間で一時運転を見合わせた。
空の便は羽田発着便を中心に正午現在、日本航空と全日空で国内線104便、国際線5便が欠航。高速道路は東京湾アクアラインや圏央道など関東の少なくとも43区間が通行止めとなった。
台風は9日夜には三陸沖に達する見通し。

計画運休 再開遅れ混乱

災害に備え、列車の運転を事前に見合わせる「計画運休」。首都圏ではJR東日本が昨年9月の台風24号で初めて実施して以来となったが、運行再開のタイミングで課題を残した。昨年9月の計画運休は周知が実施の8時間前で、周知方法もホームページや駅での告知にとどまり、情報を知らなかった乗客らで駅が混乱した。
JR東はその後、可能な限り前日に知らせることやツイッターなどSNSの活用方針を示し、国も乗客に提供する情報を時系列で整理した「タイムライン」の作成を各社に要請した。今回、各社が運休を発表したのは台風上陸前日の8日夕~夜。周知ではLINE(ライン)も活用された。