ITの魅力、もっと知って! 3年間かけて中小企業1万社を直接訪問へ 企業DXの後押しに注力する日本MS

日本マイクロソフト(MS)は12月16日、中堅、中小企業やスタートアップ企業に対するデジタルトランスフォーメーション(DX)支援に関する発表会を開催した。発表会には、日本MSと協力関係にある東京商工会議所や、日本MSのサービスを導入してDXを推進する企業の担当者も登壇した。

日本MSは具体的な支援策として「中堅中小企業の働き方改革」「中堅中小企業のビジネス課題を解決するデータ活用の変革」「スタートアップ企業の変革」の3つに注力すると発表。登壇した日本MSの三上智子業務執行役員は「DXというと、先進的な企業や大企業にしか関係がないものと思われがち。しかし、これからは全ての企業がデジタルカンパニーになる時代だ」と話した。

「中堅中小企業の働き方改革」としては、セキュリティ診断や、Microsoft Teamsの体験ワークショップなどを通して、リモートワークを推進していく。三上氏は「中小企業、特に地方企業では情報量の不足が顕著。使いたいけどどうすればいいのか分からないし、どこに聞けばいいのか分からないという声をよく聞く。こちらから積極的に情報を発信していきたい」と話す。

そこで、東京商工会議所とタッグを組む。東京商工会議所は「『はじめてIT活用』1万社プロジェクト」を展開している。このプロジェクトに、日本MSが提供する「Office 365」の期間限定での無償提供や、活用ノウハウの提供という形で参画する。

東京商工会議所の小林治彦事務局長は「中小企業の最も深刻な課題の1つが、人手不足」と話す。東京商工会議所が2015年から行っている「人手不足等への対応に関する調査」によると、19年度に「人手が不足している」と回答した企業の割合は66.4%。前回調査の65.0%からポイントを上げており、15年から一貫して人手不足感が強まっているという。

人手不足には、ITの導入による効率化を打ち手として改革を行う企業も多いだろう。しかし、こと中小企業に関してはまだまだIT化が進んでいない。東京商工会議所が行った別の18年度調査では、「ITツールを活用している」と回答した企業の割合は51.3%にとどまる。およそ半数の企業でIT導入が進んでいないだけでなく、「今後活用するつもり」と回答した企業も20.6%。17年度調査の28.0%から、なぜかポイントを落としている。

「『はじめてIT活用』1万社プロジェクト」では、ITへの関心が低い60~70代経営者を対象に、直接訪問することで啓蒙していく。東京商工会議所では、無担保無保証融資の営業活動を中小企業に行っているといい、並行してITの情報提供も行う。訪問数は1年間で3~4000社だといい、これから3年間で1万社へのアプローチを試みる。

リンガーハットもDXを推進
ちゃんぽん店を経営するリンガーハットは、日本MSのサービスを活用してDXを推進する企業の1つだ。同社は全国にちゃんぽん店やとんかつ専門店を800店舗ほど運営している。

登壇した是末英一情報システムチーム部長は「飲食業界でも人手不足は顕著で、原材料費の高騰もあり、コストカットの必要に迫られている。しかし、人材を削減すると、回りまわって来店するお客さまに迷惑となってしまう」と同社が抱えていた課題を話した。また、日々の発注や売り上げ目標の管理がベテランの経験頼りとなっており、効率化にも課題感を持っていたという。

そこで、日本MSのサービスを導入し、効率化を推進している。データベースのクラウド化やマシンラーニングを駆使することで、売り上げや発注予測の自動化を進める。ちゃんぽん店では平日と土日の客層変化が小さく、売り上げ予測や発注予測を立てやすいのだという。一方のとんかつ専門店は平日と土日で客層の違いが大きく、今後は改善を繰り返しながらモデル構築をしていく。「店舗スタッフが事務作業にわずらわされず、お客さまの満足度を高めることに専念できる体制を構築していきたい」と是末氏は話す。

日本MSは、中小企業のデータ活用について「人材育成の支援」「IT環境の診断サービス」「クラウド環境の構築支援」の3本柱で支援していく。三上氏は「中小企業が保有しているデータを活用できれば、大きなビジネスチャンスを生むはず。『新しくデバイスを買って、予算を確保して……』と時間がかかるものではなく、今すぐにできるDXを提案していく」と話す。

この他、スタートアップ企業に対しては技術支援や、期間限定でのクラウドサービス無償提供、大企業とのマッチングなどを行っていくプログラム「The Connect」の開始を発表。1年間をかけて100社の支援を目標に、スタートアップ企業と協業を狙う大企業とのマッチングに特に注力していく。