◆石垣のりこ議員をゲストに迎えて行われた国会PV
12月17日、法政大学の上西充子教授が代表を務めている国会パブリックビューイング(以下、国会PV。Twitter IDは@kokkaiPV)が、新宿駅西口にて国会パブリックビューイングとライブトークを行った。
「桜を見る会」への招待状をめぐる国会質疑を見たあとで、国会質疑と並行して行われてきた「野党合同ヒアリング」の位置づけと意味を、ゲストである立憲民主党の石垣のりこ議員とライブトークで考えるという2本立てで行われた同イベントは、師走の新宿駅で足を止めて眺める人も出た。
◆「回答を差し控える」で逃げる首相と官僚
国会PVの上映で流されたのは、「桜を見る会」に絡んだ2つの質疑。
1つ目は「桜を見る会」問題の発端となった、11月8日参議院予算委員会における共産党の田村智子議員の鋭い質疑。(文字起こしは上西教授のnote参照)
何を聞いても「お答えを控えさせていただきます」の一点張りで逃げを打ち回答拒否。しかも、安倍首相しか答えられない質問にも関わらず内閣府大臣官房がしゃしゃり出て、それを指名して答えさせる予算委員長という「茶番劇」には、師走の街を行き交う人々も足を止める人さえ出るほど。
さらに衝撃的だったのは、もう一つの国会PVの動画。「桜を見る会」に被害者7000人ともいわれるマルチ商法「ジャパンライフ」の会長が招待されており、そのことを宣伝材料に使ったことでより一層被害が拡大した疑いが濃厚なのだが、その招待枠が「首相枠」だったのではないかとして追及されている件である。
この問題については、この「桜を見る会」疑惑だけでなく、ジャパンライフへの処分が遅れた原因に「政治的な介入」があったのではないかとされているのだ。そして、その裏付けとなる行政処分を検討していた消費者庁の14年当時の内部文書に、政治的な背景の存在を示す「政治的な余波懸念」という一文があった*ことが発覚したのである。4日の参議院地方・消費者特別委員会における共産党の大門実紀史議員の質問はその件について消費者庁の担当者などを追及しているものだ。
〈*ジャパンライフ疑惑 文書に「政治的背景による余波懸念」|毎日新聞〉
多くの国民が被害に巻き込まれた事案にも関わらず、消費者庁は誰を守りたいのかという大門氏の質問に、これまた「回答は差し控えたい」の一点張り。さらに、大門議員から、この内部文書流出について、消費者庁の内部では、公益通報制度の担当省庁にも関わらず、内部告発の犯人探しをしているとの言葉が出てくると、普段は新聞やテレビで短くまとめられたニュースでしか国会審議に触れないかもしれない足を止めて画面を眺める人も、思わず溜息を漏らしていた。
ちなみに、この「回答を差し控える」という、もはや安倍政権の伝家の宝刀のようになったふざけた言葉だが、毎日新聞が面白い調査をし、報じている。12月17日配信の記事によれば、安倍政権による「お答え控える」は、安倍首相が事あるごとに繰り返す「悪夢の民主党政権」時代の4倍(民主党時代の2012年は105回→安倍政権時代の2019年は420回)にもなったとしている。
国民の知る権利はもとより、自身に突きつけられた疑惑にすら何も回答せず、疑惑を払拭する材料も一切出さず逃げの一手の答弁を繰り返す。民主主義にとって「悪夢」なのはどちらか、一目瞭然だ。
◆合同ヒアリングでも繰り広げられる官僚の不誠実な回答
国会PVの上映が終わると、第二部は立憲民主党の石垣のりこ議員がゲストスピーカーとして登場。
ここでも、再び官僚のふざけた答弁の実態が明らかにされることになる。
石垣議員が解説をするのは、野党合同ヒアリングについてだ。野党合同ヒアリングは、野党各党各会派が協力し、特定の課題・問題を追及する取り組みだ。今回の件に関しては、野党が一丸となって「総理主催桜を見る会追及本部」というのを立ち上げて、その内部で「ホテルについて調査するチーム」や「安倍総理のお膝元の山口県に行って現地調査をしてくるチーム」「名簿の情報を集められるようにするチーム」など8つのグループに分かれてテーマごとにそれぞれの担当議員が調査を進めるということをしているのだという。
紹介されたのは第8回と第11回の合同ヒアリングの様子だ。
衝撃的なのは第11回のこのやり取りだろう。
石垣議員が、8週間でデータを廃棄するのであればそのような仕様で発注されているはずなのだから、それが明記されている仕様書・契約書を出してほしいと言っても準備がなかなか整わないとか運用上のルールなどとよくわからない言葉で逃げ続ける内閣府に、それならばRFP(提案依頼書)を出してくれと内閣府の酒田元洋官房総務課長に尋ねたところだ。RFPはすでに企業側に提示しているものであり公開情報であるはずなのだが……。
その問いかけに内閣府の酒田元洋官房総務課長は以下のような回答を繰り返すのみだったのだ。
石垣議員:「提案依頼書を出して下さい」
酒田課長:「持ち帰らせていただきます」
石垣議員:「ご提出下さい」
酒田:「持ち帰らせていただきます」(以下繰り返し)
◆「承知しました」の内閣府酒田課長流珍定義
このやり取りを見た上西教授は、「『持ち帰らせてください』というのは、『出せません』ということですよね』と一言。石垣議員も「持ち帰らせてくださいと言われてなにか戻ってきた試しはない」と一刀両断した。
さらに上西教授は、「もう一つありましたよね、『わかりました』と言ったけれど、『わかりました』ってのは何を依頼したのかわかりましたということで、『承知しました』という意味ではないとか言ったり……」
これは11月29日の第8回野党ヒアリングでのことだ。招待状に記載される番号の「60」という数字について、これが意味するのは総理の招待枠なのではないかという問題について国民民主党の今井雅人議員が質問していたところだ。
内閣府職員への質問の中で、招待区分の詳細を知る職員がいると内閣府サイドが認めた。すると、今井雅人議員はその場で「その方に、(招待番号の)60から63の違いを確認してもらえませんか?」と要求した。それを受けて内閣府の酒田元洋官房総務課長は「承知しました」とはっきりと言っている。
しかし、驚いたのはその4日後、第10回ヒアリングの席のことだ。
前々回の「宿題」として60の招待区分についてそれを知る担当者がいるので、確認してきてくれという話だった件がどうなったかを問われたときに、内閣府の酒田元洋官房総務課長は「当時の担当者が特定できるということは申し上げたが、確認をするというところまで確約したかというと記憶にございません」とニヤけながら答えたのだ。
そしてさらに続けて、「わかりましたというのは、そういうご趣旨は理解しましたが、必ず確認をしてくると承諾したわけではありません」と言い放ったのである。
ちなみに、内閣府はこの通りだったが、石垣議員によれば他の省庁で一人だけ例外もいたという。それは外務省だ。山口隆祥元会長と面識がないと答えた安倍総理の答弁を覆す資料で、安倍総理が過去に父親の故安倍晋太郎元外務大臣が山口元会長と面会したときに同行していたことを表す紙の文書について、それを出してくださいと言われた外務省は即座に出してきたのだという。
このように不誠実な「日本のアイヒマン」たちとのやり取りを見て、国会PVを観に集まった人、街角でたまたま目にした人も、その酷さに改めて驚きの声をあげていた。
野党議員の質問だからといって、国会の総意としての質問なわけで、これは野党の質問ではなく、「国政調査権の発動」にほかならない。それをまともに答えようとしないのは、服務規律違反ですらある。
官僚は全体の奉仕者として、国民の総意に基づくヒアリングに真摯に回答する義務があるのは間違いない。どんどんボロが出てきて、繕えなくなっている現状。「年を越えれば国民は忘れる」と高をくくっているのかもしれないが、積み重なった横暴と不条理で国民の反感も鬱積している。今までのように、「安倍に尽くせば出世する」などと思わないことだ。
<文/HBO編集部>