「湯の波が踊る様子」を表現 廃業した銭湯でアート個展 福岡

九州大の学生街だった福岡市東区箱崎で80年間営業を続け、7年前に廃業した銭湯「大学湯」でアートの個展が開かれている。自身もよく通った地元出身のアーティスト、銀ソーダさん(24)が、銭湯利用客の「記憶や思い」を表現したインスタレーション(空間芸術)作品を展開している。24日まで。
大学湯は1932年開業。太平洋戦争も乗り越えて営業を続け、箱崎キャンパス(昨年閉鎖)があった九大の学生らも通った。創業者の女性が07年に亡くなった後も家族が続けてきたが、12年に惜しまれつつ廃業した。
銀ソーダさんは九州産業大芸術学部を卒業後、福岡や東京をはじめ国内外で個展やグループ展などを開催。液体から固体、気体と循環する水をモチーフに、人々の記憶や経験などを表現する作品で発信している。
大学湯には幼い頃から家族らと通い、「子どもながらにタイルの柄が手裏剣みたいだとか、お湯の流れが面白いと思っていた」と振り返る。昨年12月の大学湯の公開イベントで、建物の活用策を探っていた創業者の孫と出会い、「私だったらこう使いたいという考えが頭にあった」ことから個展開催を引き受けた。
個展では、レトロな番台やげた箱などが残る大学湯を舞台にしたインスタレーションに挑戦。浴室のタイルの床や壁を柔らかな布や絵画で飾って「湯の波が踊る様子」を表したり、脱衣場の木製ロッカーにアクリル画などを並べて見せたりしている。「再構成」をテーマに、過去の自分の作品を切り刻み、再び組み立てる手法で今回の制作にあたったという銀ソーダさん。「大学湯に蓄積された人々の思いや、新しい大学湯へ生まれ変わることへの願いを(作品に)込めた」と話した。
個展は午前11時~午後5時、入場無料。【加藤小夜】