「桜を見る会」問題は「年が明けたら雰囲気は変わる」の既視感 4年前の“あの出来事”でも

この見出しのインパクトはすごかった。
「『令和』改め『反社』おじさん」(日刊ゲンダイ・12月13日付)
ゲンダイ師匠は「反社の定義まで都合良くひっくり返すのは公私混同の極み」として、菅官房長官の新しい愛称「反社おじさん」を発表してしまった。そのリズムから「ハイサイおじさん」に引っかけている可能性も。沖縄に冷たい官房長官に対して「♪反社おじさん♪」と絶対に歌ってはいけない。絶対にだ。
さて今回は新聞でよく見る「関係者の言葉」に注目したい。
というのも政府・与党側の本音が行間から伝わってくるから楽しみなのだ。たとえば国会閉会の前後で自民党内部の本音がポロポロ漏れていた。
「政権は自信『逃げ切った』桜を見る会、幕引き図る」(西日本新聞・12月3日)
《自民党幹部は「うまく逃げ切った」》
やはり説明から逃げていた自覚はあったわけだ。最高!(いや最低と言うべきか)
説明しない首相&官邸に関しては、
《「官邸のご機嫌うかがいばかりだ。『言論の府』としての誇りを忘れてしまったのか」と嘆く。》
という「自民党ベテラン」の言葉を見つけた(信濃毎日新聞・12月10日)。こういう時は野党より自民党内部の言葉が心に重たく響く。
そういえば最近閣議決定が目立つが、国会で議論すれば済む話である。日刊スポーツの「政界地獄耳」師匠はこう指摘する。
「安倍内閣は異次元の閣議決定を繰り返している。これは歴史の検証に耐えうるレベルのものではないだけでなく、内閣を挙げてすべての閣僚が同意したとんでもない愚行だ」(12月12日)

「レガシーは作るものではなく、国会での答弁で生まれるものだ」(同)
議論を避け、公文書も尊重しない、とりあえず閣議決定の“裏ワンチーム”ここにあり。
さて「関係者の言葉」は過去をさかのぼっても面白い。
あれ? このときも同じようなこと言ってる、と気づくことがあるからだ。
具体的に並べてみよう。まず国会閉会翌日の記事(「説明責任避けた政権」朝日12月10日)。
政権内には国会での追及をしのいだとして一服感が漂うとし、
《首相に近いベテランは「年が明けたら雰囲気は変わる」。》
つまりクリスマスや年末がくれば国民は「桜を見る会」問題は忘れるだろうと。
本当かなぁと思いつつも、一方でこの表現に既視感があった私は過去記事を調べてみた。すると見つけたのだ。似たような言葉を。それは今から4年前。
「安保法案『成立すれば国民は忘れる』強行採決の背景は」(朝日新聞デジタル・2015年7月16日)
途中、こんな一文がある。
《首相に近い参院議員の一人は「消費税や年金と違い、国民生活にすぐに直接の影響がない。法案が成立すれば国民は忘れる」と言い切る。》
ああ。ちゃんと説明しなくとも「年が明けたら雰囲気は変わる」と言っちゃうのと同じものがここにある。変わってないなぁ。
実はこの安保法案成立の頃の記事を洗っていくと最近の別の出来事ともリンクするのだ。

それは、「新国立競技場」である。
先日、新しい国立競技場が完成したが驚くのは「後利用」が未だに決まっていないこと。
「紆余曲折たどった新国立競技場 描けぬ五輪後の将来像」(産経ニュース12月15日)を読むと、年間維持費は24億円と見込まれているが「その回収の目途が立っていない」。なんとも恐ろしい事態。それもこれも当時「慌ててまとめたため」である。
では当初のザハ・ハディド案を撤回した頃の状況を見てみよう。4年前を振り返った記事があった。12月1日の毎日新聞。
《総工費高騰の批判が強まる中、国会は安全保障関連法案の重要局面を迎えていた。同案は7月16日に衆院で強行採決されると、翌17日に安倍晋三首相は突然、計画の白紙撤回を表明。》
思い出した!
安全保障関連法案の成立で大騒ぎの中、その翌日に「ザハ案白紙撤回」を首相が発表したのだ。まるで合わせ技である。
あのころ森喜朗の悲願と言われたのが新国立でのラグビーW杯開催。それありきでどういう議論で決まったか不透明だと批判されていた。下村文科相(当時)は15年6月29日、総工費を当初の2倍近くの2520億円と公表。一気に批判が起きた。
そんなときに安倍首相が「白紙撤回」。悪役・森喜朗退治である。それは安保から目をそらせる絶妙のタイミングだったともいえる。
しかしそのあとの新国立論議は「新しい整備計画を慌ててまとめたため、工期短縮と費用圧縮が優先し、五輪・パラ後の利用計画は先送りされている」(産経ニュース12月15日)という現在になっている。
「後利用を軽視したツケは重い」(毎日新聞12月1日)。
何かを取り繕うために何かを慌てて持ってくる。 議論や説明を避けたことが大きく響く。 「桜を見る会」のドタバタと同じである。
ろくな議論もせず拙速という点では、
「入試制度 ずさん設計 政治主導 時期ありき」(毎日新聞・12月18日)
「特定技能 魅力なし? 突貫のツケ 態勢整わず」(朝日新聞・12月17日)
も同じだ。
現政権の態度や手法は、一貫して繋がっていると言えまいか。
過去を見ればわかるのである。
(プチ鹿島)