24日に任期満了で退任するNHKの上田良一会長が9日、最後の定例記者会見に臨んだ。かんぽ生命保険の不正販売を追及した番組を巡り、日本郵政グループの抗議に同調したNHK経営委員会から2018年秋に厳重注意を受けた問題に関連し、郵政側に事実上の謝罪文を届けた理由について「経営委の厳重注意は重く受け止めざるを得ず、対応した」と改めて説明した。
経営委は昨年12月、上田会長の後任にみずほフィナンシャルグループ元会長の前田晃伸氏を選任。上田会長を再任しなかった理由の一つに「かんぽ問題も含めたガバナンスの問題」を挙げていた。
上田会長は任期中の実績として、テレビ番組のインターネットでの常時同時配信を可能にする昨年5月の改正放送法の成立を挙げ、「感慨無量だった」と述べた。前田次期会長に対しては「放送と通信の融合時代にふさわしい『公共メディア』実現への取り組みをさらに前に進めてほしい」と語った。【小林祥晃】