昨年7月の参院選で、河井克行前法相と妻の河井案里参院議員(広島選挙区)夫妻側がウグイス嬢に違法な報酬を支払った事件が急転した。“雲隠れ”していた河井夫妻は、広島地検による地元事務所のガサ入れを受け、約2カ月ぶりに姿を現したが、夫婦そろってまさかのゼロ回答。どうやら捜査も尻すぼみに終わりそうな状況だ。
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克行氏は15日夜、突然都内で取材対応。謝罪はしたものの、真相については「捜査が始まっているのでコメントは控える」とダンマリだ。案里氏も都内の別の場所で記者対応したが、こちらも「捜査機関に全面的に協力しながら洗いざらい調べていただきたい」とフザケた発言。夫婦共に離党も辞職も否定したから、一体何のために出てきたのかさっぱりだ。
中身なしのアリバイ会見からさかのぼること約10時間、15日午前に広島地検は2人の地元事務所を家宅捜索。昨年の参院選の際、2人は共謀した上で、案里事務所からウグイス嬢に公職選挙法の規定を超える報酬を支払った疑いで告発されている。運動員買収に当たる恐れがあり、案里氏が直接関与しなくても、秘書などの買収への関与が確定すれば「連座制」適用で当選無効になる。
案里氏のみならず、安倍政権にとっても大打撃だが、今回のガサ入れは、検察の“ポーズ”だった可能性がある。
「日産自動車前会長のゴーン被告の逮捕・逃走劇で、検察は海外メディアを中心に『人質司法』などと猛批判を浴びています。風当たりの厳しさから名誉挽回を狙ってか、検察上層部は『政治家がらみのデカい事件をやれ』と現場に指示を出したといいます。焦りは相当なものだそうで、今回の家宅捜索は“やってる感”のアピールではないかとみられています」(司法記者)
名誉挽回したいなら、手柄をあげるため本腰を入れるべきだが、河井夫妻の逮捕・起訴の可能性は極めて薄いという。
「検察は、ウグイス嬢側が公選法の規定を超える報酬を要求し、案里氏の事務所はやむなく支払わざるを得なかった、というストーリーを描いているフシがあり、事件を小さく収めようとしている可能性がある」(司法記者)
■カジノ汚職の秋元議員とは次元が違う
そもそも昨年の参院選で、溝手顕正前参院議員の「牙城」だった広島選挙区に案里氏を押し込んだのは、安倍首相をはじめとした党幹部。過去、安倍首相を猛批判した溝手氏への「刺客」として送り込まれた経緯がある。
「実際、安倍首相に菅官房長官も案里氏の応援に入っていた。つまり、案里氏のバックには首相周辺がついているということ。さらに、克行氏は首相側近で、菅長官にも近い。逮捕されでもしたら、政権は大ダメージを免れない。“小物”の秋元司衆院議員の逮捕とは別次元。検察は安倍政権に“忖度”し、手を緩める可能性がある」(永田町関係者)
14年に小渕優子元経産相が政治資金規正法違反の疑いで告発された時も、検察は小渕氏の後援会事務所などにガサ入れしたが、結局不起訴に終わった。河井夫妻が離党も辞職も否定してシレッと居直ったのは、検察の“捜査方針”が分かったから、というのはうがった見方か。