茨城県龍ケ崎市の牛久沼の八間堰(はちけんぜき)の水門に2019年春、県がニホンウナギの遡上(そじょう)を助ける魚道を仮設したところ、62匹が遡上した。県竜ケ崎工事事務所は効果が大きいと判断。常設に向けて検討を始めた。
仮設の魚道は、うな丼の発祥地と伝えられるなどかつてはウナギの名産地だった牛久沼にニホンウナギを復活させるための実証実験の一環。水門の門扉(ゲート)は通常、一部が開いているが、流れが速すぎるため、遡上を確認するのは年間わずか数日という。
そこで牛久沼漁協が魚道の設置を要望した。魚道は幅43センチ、長さ7メートルの合成樹脂パネルで、ウナギが体をすりつけやすいように多数の円筒の突起がある。沼の水をポンプで吸い上げて魚道に流し、遡上を促す仕掛けを作った。
魚道を用いた実験は、同事務所が17~19年度に実施。17年度は水門と直角方向に魚道を取り付け、遡上はゼロだった。18年度は同じ手法で13匹。19年度は発想を転換し、水門に魚道の側面をぴったり添わせ、35度の角度をつけて斜めに取り付けた。
その結果、6~10月に62匹の遡上を確認。特に9~10月が多かった。体長は平均29センチだった。事務所の佐藤之彦次長は「予想以上の成果。生態系保護の観点から効果が見込まれる」と話している。関係団体と協議し、水門の更新の際に魚道の設置を検討する。
現在の水門は沼から谷田川に流す水量調節のため、1971年に建設。建設から約50年が経過し、事務所は20~21年度の2カ年で、新たな水門の製造と設置を計画している。
人工の魚道は、魚類の遡上を妨げる水門などに、各地で設置されている。今回の実験で試した魚道は、ウナギ専用の「イールラダー」と呼ばれるカナダ製。採用されれば、国内初という。【安味伸一】