巣立ちの3月、突然奪われた子供たち 新型コロナ休校要請で「最後の授業」

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時休校の要請方針を受け、全国の多くの学校が急きょ、年度内最後の授業を迎えた。児童・生徒らは気持ちの整理がつかないまま休校の知らせを伝えられ、「自宅で勉強できるだろうか」「寂しい」などと不安や名残惜しさを胸に学校を後にした。
3月末閉校「もう少し遊びたかった」「寂しい」
児童が9人になり、3月末で閉校する滋賀県長浜市の市立杉野小学校も、3月2日からの臨時休校が決まり、この日が「最後の授業」になった。3月14日の卒業式と20日の閉校式は規模を縮小して開催する予定だが、半月以上残っていた思い出の校舎での日々が突然失われた。
県北東部の山間地にある杉野小は、1929(昭和4)年の創立。近くにあった土倉鉱山の従業員の子どもたちが通い、一時は400人以上の児童がいたが、65年に鉱山が閉山した後は次第に減少した。鉄筋コンクリート2階建ての現校舎は2002年9月に完成し、2学年ずつのクラスが合わせて三つある。
28日には全校集会が開かれ、冨岡弥栄輝(やえき)校長が全校児童9人を前に、臨時休校を伝えた。5年の広瀬大紀さん(11)は「急に決まり、びっくりした。杉野小の友だちと、もう少し一緒に遊びたかった」と残念そうな表情。冨岡校長も「子どもたちと過ごせる最後の3週間がなくなり、寂しい」と漏らした。卒業式と閉校式の時間は短縮され、思い出のビデオの上映やコンサートなど地元自治会が企画していたイベントは中止になる見通しだ。【若本和夫】
課題プリント準備、緊急ホームルーム…混乱の学校現場
政府の要請に先立ち、29日から3月13日まで市立小中学校などを臨時休校することを決めた大阪市。「春休みではありません。ウイルスの感染を避けるためにも、外出せずに自宅で勉強してください」。住之江区の市立平林小学校では28日午後、3年1組の教室で担任の森崎輝教諭(27)が児童に呼びかけ、自宅学習用の課題として計算ドリルなどを配った。
2週間の臨時休校後の授業の予定は決まっておらず、3月24日に予定されている修了式もどうなるか分からない。クラスの新野偉流(たける)さん(9)は「みんなと早く別れるのは寂しい。休み中にどこにもいけないのは残念」と話した。18日に予定される卒業式は、規模を縮小して開催することが検討されている。同小6年の寺井七星(ななせ)さん(12)は「式には、歌をたくさん練習してから臨みたかった」と語った。
大阪市教委から臨時休校の指示を受けた27日夜から、学校現場は大混乱に。別の市立小では教職員が午後10時ごろまで校内に残り、休み中の課題プリント作成などに追われた。28日には母子家庭の児童が「明日からどうしたらいいの?」と教員に不安そうに問いかける姿も見られた。
奈良県桜井市の県立奈良情報商業高校では28日、期末テスト後の午前11時過ぎから各クラスで緊急のホームルーム。いつ休校するか県教委の通知が届いていなかったため、担任教諭が「早合点しないで学習に取り組んで」「休みになってもむやみに外出しないで」と「両にらみ」での指導を強いられた。普段は校内で禁止しているスマートフォンの使用を認め、教室で生徒たちは学校からの連絡を一斉メールで受信できるよう設定していた。
昼ごろに生徒が下校した後、県教委から「3月2日から休校」との通知が学校に届き、教員らは生徒への連絡などに追われた。1、2年生は3、4日にも期末テストを予定していたが実施のめどが立たず、「進級判断もできない。どうしたらいいのか」と困惑していた。【隈元悠太、林由紀子、広瀬晃子】