【武藤正敏】コロナ感染、なぜ日本と韓国とイタリアだけ「対応が遅れた」のか…? 世界各国との差が鮮明に

3月5日夜、新型コロナ感染症対策本部において、安倍晋三総理は「今が正念場であり、機動的な水際対策についても躊躇なく断行していくことが不可欠だ。積極果敢な措置を講じる」と述べ、中国・韓国からの入国を3月末まで大幅に制限する方針を表明。入国者に対して、宿泊施設や医療施設などに2週間の待機を要請した。
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さらに、短期ビザの効力を停止し、航空便の到着を成田と関空に限定。また、韓国やイランなどの一部地域を入国拒否の対象に追加(テロリストを対象とした入管法5条1項14号を根拠)した。日本と韓国がなぜもっと早くこれを行ってこなかったのか、疑問に思った人は多かったものと思う。
中国では武漢・湖北省以外の感染は終息しつつあると報じられている。規制するのであれば、米国が中国全土からの入国を規制した1月31日の時点で入国禁止すべきであったろう。
どの人の入国を認めるかは各国の主権事項であり、世界各国は、防疫が絡んだ問題では、政治的配慮は抜きにして規制をかけている。新型コロナの発生地である中国でさえ、ウィルスの再流入を防ぐ立場から、規制をかけており、2月以降は日本からの入国者に対する検疫措置を段階的に引き上げている。

北京、上海市では日本からの入国者に14日間、自宅や指定施設での隔離外出制限義務付けている。それに、重慶や広東省も追随している。日本は感染症の蔓延している武漢を含む湖北省に限定その後浙江省を追加しただけであった。
中国からの入国禁止措置を遠慮したのは習近平国家主席の国賓訪日が控えていたという事情があるにせよ、防疫の問題では最大限の措置を取るのが世界の流れではないであろうか。
さらに中国からの入国禁止を躊躇したもう一つの理由は、インバウンド観光への影響である。
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昨年中国からの訪日客は960万人、香港を加えると1200万人に達する。さらに、韓国からの560万人を加えると訪日客全体の55%である。ちなみに、中国人の消費額は大きく、19年は1.8兆円と訪日客全体の4割弱に達している。
しかし、中国からの入国禁止を躊躇したため、日本で感染が拡大し、世界各国で日本からの入国後の自宅待機などの制限を取っている国・地域が5日午前10時時点で53ヵ国地域に達してしまった。確かに中国人訪日客を禁止すると日本経済への影響は大きいが、感染が拡大すればその影響は一層大きくなることは不可避である。
中国からの入国規制をしなかった国がどうなっているか。その典型的な失敗例が、イタリアとイランである。

イタリアでは2500人以上が感染、死者は100人を超えた。政府は学校と大学を3月15日まで休校とすることを決めた。さらに感染拡大を防ぐため、キスや握手の禁止も検討しているという。
イランは2月19日シーア派の聖地コムで2人が初めて感染判定を受け死亡し、27日中国人の入国を禁止したが、5日現在感染者は3513人に達し、死者も前日より15人増えて107人になっている。
何故このように急拡大したのか。両国とも中国の一帯一路の核心地域であるからである。
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イタリア(中国人移民が工場や店を運営)は19年1月基準で30万人が移住し、工場や店を運営している。イランも17年輸出の31%、輸入の37%を中国に依存し、中東における一帯一路の中心的事業を行っているからである。
日本が2月の初めころ、中国からの入国禁止措置を取っていても感染の拡大を抑えられたか、確定的なことは言えない。しかし、札幌雪祭りでの感染など影響がなかったとは言えないだろう。
日本の新規入国者隔離要請には韓国も含まれており、韓国は、これに対し猛反発している。
青瓦台金サンジョ政策室長は「本当に失望した。深い遺憾の意を表する。6日政府の公式見解を発表するだろう」と述べ、別の当局者は「日本からの入国者の隔離や、日本からきた飛行機の着陸制限などを検討している」と明らかにしている。
しかし、韓国は6日午前現在518人増の6248人と、中国に次いで多くの感染者を出しており、死者も前日から7人増えて42人となっている。

これを受け、世界各国で韓国からの渡航者の入国を制限しているか、する方針の国・地域は5日午後8時時点で、新たに日本、豪、コンゴ共和国、インドネシアを加えて99ヵ国・地域となった。
韓国滞在者に対する入国全面禁止や一定期間禁止の国地域のうち、35ヵ国・地域は韓国全土、6ヵ国は大邱など一部地域となっており、隔離などの措置は13ヵ国・地域が手続きの厳格化45ヵ国・地域となっている。
韓国の康京和外相は国会質疑で、「様々な国の外相と電話会談したが、自らの防疫体制が粗末なために(入国制限を)したもので、韓国との友好関係とは関係がない」と述べた。
各国が韓国人の入国を規制しているのは、韓国における新型コロナウィルスの蔓延が拡大しているからであり、国内の対策の不備を、このような言い訳でごまかすことは許されない状況であることを考えてほしい。
韓国人の入国規制は韓国企業の海外ビジネスにも甚大な影響を及ぼすであろう。日本が同じ目に合わないためにも、韓国の批判で対応を変えることはできない。
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いよいよ緊急事態宣言が可能になる新型インフルエンザ対策特別措置法に、新型コロナウイルスを加える改正案の国会審議が行われる。
これに先立って、3月4日、安倍総理は野党党首と会談し、「適用する際は事前に相談する。対象地域と期間は絞り込む」と説明し協力を求めた。各党ともに審議には協力する模様である。ただ、総理は、記者に現時点で発令する段階ではないとも述べている。
政府が緊急事態を宣言すれば、各都道府県知事は、
(1)住民の外出禁止を要請(2)学校や老人福祉施設などの使用停止を要請・指示(3)音楽イベント、スポーツなどの開催中止を要請・指示(4)鉄道や運送会社に緊急物資の輸送を要請、指示(5)医薬品などの特定物資の売り渡しの要請、収容
が可能となる。

日本の中には、この法律改正によって国民の私権が制限することとなるため、慎重論がある。しかし、現在は非常事態である。
こうした時に政府があらゆる対策を立てられるようにしなければ、感染はさらに拡大する可能性がある。
それでなくとも新型コロナの感染が人命を奪い、日本経済に甚大な被害を及ぼす懸念がある。
こうした被害を最小限に抑えることが現在日本にとって最も緊急の課題である。
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日本には自然被害が多い。そのたびに日本人は冷静に協力し合って被害を最小限に留めるよう努力してきた。桜の花見における宴会の自粛要請に対しても多くの人々は協力的である。しかし、一部では勝手な行動をとる動きもある。
愛知県蒲郡市の50代の男性は、市内の複数の飲食店を訪れ自分は新型コロナウイルス陽性だと話していた。4日に陽性と判定されていたあと、愛知県から自宅待機を要請されていたにもかかわらず飲食店を訪れていたものである。
千葉県では、70代の女性が発熱後、妹と富山県のバス旅行を行っていた。また、大阪のライブハウスにおける集団的感染では、保育園の職員もいたようである。一部のこうした動きが集団的感染を拡大しかねない。
同時に、マスクを買い占め転売する事例が見られる。

国民の多くが苦労して探し回っているマスクで一儲けしようというのは非常時には許されない行為である。新法では、マスクの転売を原則禁止(国民生活安定緊急措置法の政令を19日閣議決定する方針)とし、違反した場合の罰則を5年以下の懲役、または300万円以下の罰金に処することとした。
したがって、多くの国民には非常事態宣言は決して現在の生活をかえることにはならないであろう。ただ、一部の不心得者は不利益を被るということにすぎないのではないか。地方公共団体の知事が各地方の実情に即しガイドラインを設定することは、極めて有意義である。
世界各国とも、新型コロナの感染拡大には懸念を示している。
非常事態と考えるのは日本ばかりではない。少なくともそうなり得ると懸念する国は多いのではないか。
3月5日現在、新型コロナの感染は、世界81ヵ国・地域に拡大しており、ドイツのシュパーン保険相は4日、「新型コロナウィルスの流行はパンデミックになった」と言明した。
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米国でも、最多の感染者が確認されている加州で、3500人乗船のクルーズ船「グランド・プリンセス」号で20人の乗客・乗員に感染の疑いが発覚、検査で安全が確認されるまでサンフランシスコ沖に停泊することとなった。
3月4日、同州ではワシントン州以外で初めて死者が発生し、同州のニューサム知事は非常事態を宣言した。これで米国で非常事態を宣言した数はワシントン、フロリダを加え3州となった。
トランプ大統領は、2月26日時点では記者会見で、「われわれの取り組みが奏功し、米国民へのリスクは依然低い」として国民の不安軽減に努めていたが、米議会下院は新型コロナウィルス対策のため8900億円規模の緊急予算を可決した。記者会見当時、トランプ政権が示していた当初案25億ドルは不十分と判断したものである。米疾病対策センター(CDC)は3月5日、CDC感染者疑い例を含め150人いると公表している。

入国規制に関しても、韓国、イタリア、日本の動向を「綿密に注視し、適切な時期に決める」述べている。
こうした、対策の強化はアジア各国でも進んでおり、日本がこれに乗り遅れると、韓国が置かれた状況になっていくであろう。
新型コロナ検査の体制不備は医師会、国会、マスコミなど各方面から指摘されている。
その最大のネックが、保険所を仲介しなければならないとういう仕組みであった。
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医師会が調査したところ、「医師が必要と判断したのに、保健所が拒否」した事例が3月3日時点で7道県で30件あったという。医師は対面診断しているのに対して、保健所は電話だけで判断し拒否する。これについて、北海道に派遣された感染研職員が「入院を要する肺炎患者に限定すべき」とは発言したという。
こうした発言は、『検査をさせないようにしている』と受け取れるという一部で報道している。
さらに、立憲民主党では、「帰国者・接触者相談センター」に電話しても10万件以上の相談に対し、2700人しか検査に回していないと批判している。さらに37.5度以上の熱が4日以上続く場合という、感染疑いの定義についても、検査を止めようとしているとしか思えないと批判されている。

そもそも、検査体制の構築を怠ってきたのは厚生労働省である。
感染が広がった今、処理能力が足りないからといって、「なぜできないかを一生懸命説明するのではなく、どうしたらできるのかを考えるべき」ではないか。体制を改善する時間はこれまで十分にあったはずである。
3月6日から、新型ウィルス検査に保険適用するという。引き続き感染者の定義を盾に検査を妨げるのは感染症の終息を遅らせるだけである。厚生労働省の言い訳を抑え、検査体制を拡充していくことが政治の責任である。
米国でも、検査医療体制を急ピッチで強化しており、新型コロナウィルス検査を行う際、米食品医薬品局の承認を得ずに検査できる体制の構築に取り組んでいるという。非常時には過去の先例にしがみついているよりも、いかに最も効果的な検査体制を構築できるか考えるのが政治である。厚生労働省にはやる気はない。