出張や就職活動にも影響…韓国の入国規制

新型コロナウイルスの検疫強化のため、中国と韓国からの入国者に2週間の待機を求める措置が9日、始まった。日本の措置を受けた韓国政府も同日、対抗措置として、入国手続きを厳格化。韓国在住の日本人留学生や日本国内で働く韓国人らは急遽(きゅうきょ)、出張のキャンセルや帰国の検討などで動揺が広がった。
「大変なことになった」
こうこぼすのは、日韓で食品などの輸出入を手掛ける大阪市内の会社を営む韓国人の50代男性社長だ。日本政府が5日に入国制限強化を表明したことを受け、同社は社員の韓国出張をすべてキャンセルした。
「早期の収束を願うだけ」と防疫面への理解は示すものの、「書面か電話で商談をするしかなく、取引成立は難しくなる」とビジネスへの影響を懸念した。
日本国内で訪日客向けの旅行会社で働く韓国人や、日本企業に就職予定の韓国人学生らからも情報を求める声が相次ぐ。
福岡市内の旅行会社に勤める韓国人女性(24)は「新型の感染拡大で韓国からのツアー客も減って、いったん韓国へ帰るべきか悩んでいた。ただ、今帰国したら、しばらく日本で仕事できなくなってしまう」と語った。
日本政府の措置では、日本入国時にホテルなどで2週間待機を求めるほか、在韓国日本大使館が発給した査証(ビザ)の効力も停止。インターネット上では、4月入社予定の韓国人学生らから「ビザが受け取れなくなった」「発給予定だったビザは停止するのか」と情報を求める声が相次いだ。
一方、韓国政府も対抗措置をとったことで、さらに混乱に拍車をかけている。
「4月に学生ビザを就職活動のビザに更新する予定をしていた。更新できなければ就職活動もできない…」。今月、韓国の大学を卒業し、韓国企業でインターンシップを受けている日本人女子留学生(23)は困惑する。
現時点で帰国の予定はないが、韓国でビザを更新できなければ帰国しなければならない。「帰国しても検疫は成田と関西国際空港だけというし、東北地方の自宅まで帰れるのか」と話している。(石川有紀)